銀行の業績の優劣が鮮明に...
「週刊エコノミスト」(2022年6月7日号)の特集は、「強い弱い 地銀&メガ」。経済を支える銀行の業績の優劣が、鮮明になってきた。2022年3月期決算で見えたきたものとは――。
編集部による巻頭レポート「金利急騰で多額の含み損 晴れないコロナ後の視界」の書き出しはこうだ。
「新型コロナウイルス禍からの回復途上だった地銀を、金融市場の急変が襲った。今年に入って米国の金利が急上昇し、保有する外国債券(外債)などの価格が急落。2022年3月期決算では、有価証券で多額の含み損を抱えた地銀が続出した」
きらやか銀行(山形県・第二地銀)は金融機能強化法に基づく公的資金の注入を申請する方針を2022年5月13日に明らかにした。有価証券合計で121億7900万円の含み損を抱えており、1年前より98億円も悪化した。これまでに300億円の公的資金の注入を受けており、返済期限を事実上撤廃し、経営責任も問わないという特例適用の第1号となりそうだ。
2022年3月期の全99行ランキングを掲載している。きらやか銀行に加え、栃木銀行(栃木県・第二地銀)、もみじ銀行(広島県・第二地銀)、筑波銀行(茨城県)の計4行が100億円以上の大幅な含み損を抱えているから深刻だ。
SBIホールディングス(HD)は、5月には大光銀行(新潟県・第二地銀)を加え、その「地銀連合」は計9行となったが、規模は小さく業績はさえず、相乗効果は出ていない、とまとめている。
個別行の問題では、新たな被害者同盟が結成されたスルガ銀行、トップ解任騒動で揺れる山口銀行を詳しく取り上げている。
一方の3メガバンクはどうなのか。そろって増益になるのは8期ぶりだが、収益性の向上には課題が多い、としている。「低リスクの三菱UFJ」「経費率低い三井住友」「みずほとグーグル提携」と寸評。度重なるシステム障害が問題になったみずほFGがグーグル日本法人との戦略的提携のよって、DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れを取り戻すことが出来るのか、注目される。
(渡辺淳悦)