首位の三菱商事、最終利益は前期比5倍超の9375億円
一方で、資源高が各社の収益を大きく押し上げた。 コロナの感染をいち早く抑えた中国の景気刺激策で鉄鉱石や石炭など金属資源関連の価格が上昇し始め、需要回復に生産や物流の回復が追いつかず、商品全般の価格が上がった。
さらに、22年2月からのウクライナ侵攻で資源・エネルギー、商品価格全般が一段と値上がりしたことで、利益も押し上げられた。商社は鉄鉱石などの権益を押さえており、相場高騰でもうけが膨らむ構造になっている。
三菱商事は、中国の豪州産石炭輸入制限の影響を受け、前の期は厳しかったが、22年3月期は世界的な石炭価格上昇の恩恵を受けた。この期は、原料炭だけで2706億円もの利益を出した。こうした結果、最終利益は前期比約5.4倍の9375億円と、1兆円目前まで跳ね上がり、首位に返り咲いた。
三井物産も、鉄鉱石や銅の価格上昇などで資源事業の採算が大幅に改善。商品市況の上昇に為替の円安メリットも加えると2350億円の増益要因になった。ヘルスケア分野なども伸びた。これらでサハリンの事業の損失を補ってお釣りがくる結果になり、22年3月期の最終利益は前期の2.7倍の9147億円と、2位を確保した。
前の期に首位に立った伊藤忠商事も最終利益は同2.0倍の8202億円と、好業績だった。だが、三菱、三井の伸びには届かず、3位になった。
伊藤忠は、石炭など資源でも利益を伸ばしたが、売り上げの7割を占める非資源事業の好調が全体を押し上げた。情報・金融部門は、コロナ禍からの経済活動の回復に伴う企業のデジタル化で需要が膨らんだ。
住友商事は、前期に過去最大の赤字計上から一転、石炭、鉄鉱石、銅などの価格上昇が貢献し、最終利益は4636億円と、過去最高を更新した。