経済制裁の「打率は3割」、サダム・フセインには効かなかった...
そして、何よりもこれまで米国がやってきた多くの経済制裁はあまり成功してこなかったことが大きい。
「過去100年以上にわたって米国は100件以上の制裁を発動してきた。そのうちの3分の1以上が成功しているが、成功した例は、国内の治安が悪く、混乱状態にある小国が対象であったことがほとんどである、とHufbauerは分析している。そして強力で毅然とした敵に対しては、あらゆるリスクを伴うものの軍事力の行使が、更生を達成する唯一の手段かもしれないとみている」
たとえば、1990年に起きたイラクによるクウェート侵攻に対する経済制裁は、包括的でほぼ全世界の支持を得ていた。しかし、サダム・フセインをクウェートから撤退させることはできなかった。結局、多国籍軍による軍事介入「砂漠の嵐作戦」が必要だったというわけだ。
しかし、一歩も引かないプーチン大統領を相手に、NATOが軍事介入をしたらどうなるのか。「イラク戦争」どころではない大惨事を引き起こすだろう。
(福田和郎)