神戸物産「業務スーパー」コロナ禍でも業績は右肩上がり! 平均年間給与は?

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   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、「業務スーパー」を全国でフランチャイズ展開する神戸物産です。

   神戸物産発祥の地は、1981年に創業者が食品スーパーを開業した兵庫県加古川市。現在も本社を置いています。

   2000年にフランチャイズ体制を開始し、06年に大阪証券取引所市場第2部に上場。12年に大証1部に指定替えし、翌年の市場統合で東京証券取引所の市場第1部(いずれも、当時)に指定。この4月からは、プライム市場に区分されました。

  • 全国でフランチャイズ展開する「業務スーパー」が好調(写真はイメージ)
    全国でフランチャイズ展開する「業務スーパー」が好調(写真はイメージ)
  • 全国でフランチャイズ展開する「業務スーパー」が好調(写真はイメージ)

競合他社より高い利益率

   それではまず、神戸物産の近年の業績の推移を見てみましょう。

近年の業績は右肩上がり!
近年の業績は右肩上がり!

   神戸物産の売上高は、コロナ禍にもかかわらず右肩上がりに伸びています。2021年10月期の売上高は3620億円で、20期連続の増収を達成しました。営業利益も順調に伸びており、2021年10月期は273億円で8期連続の増益。営業利益率は7.5%で、4期前から1.7ポイントも改善しています。

   2021年10月期は原料や海上運賃の高騰などから、売上総利益率が4期前の15.7%から11.9%へと急減していました。しかし、売上高販管費率を同9.3%から4.4%へ大幅に抑制することで営業利益率の改善につなげています。

   なお、販管費の削減には、後述する外食事業の一部を連結範囲から除外した影響もあります。

   ちなみに、同じスーパー業界の競合他社と営業利益率を比べると、マックスバリュ東海(2021年2月期の売上高3559億円)が3.3%、平和堂(2021年2月期の売上高4393億円)が3.2%、いなげや(2021年3月期の売上高2659億円)が2.6%で、神戸物産の利益率の高さがわかります。

   2022年10月期の業績予想は、売上高が前期比5.0%増の3800億円、営業利益が同5.4%増の288億円(営業利益率7.6%)、最終利益が同1.1%増の198億円となる見込みです。

「業務スーパー」のほか外食や太陽光発電も

   神戸物産は「業務スーパー事業」「外食・中食事業」「エコ再生エネルギー事業」「その他」のセグメントで事業を展開しています。

   神戸物産は2013年、クックイノベンチャーを連結子会社とし、子会社のジー・テイスト(東証スタンダード。現・焼肉坂井ホールディングス)を通じて「平禄寿司」「村さ来」「肉匠坂井」などの外食事業を傘下で展開していました。しかし、2020年6月にクック社を売却し、関連する連結子会社11社を連結範囲から外しています。

   これを受けて、「神戸クック事業」として展開していた「神戸クック・ワールドビュッフェ」「馳走菜」、その他事業として運営していた焼肉事業「プレミアムカルビ」を再編し、2021年10月期は新たに「外食・中食事業」としています。

   また、「エコ再生エネルギー事業」として、全国各地に太陽光発電所17か所、木質バイオマス発電所1か所を稼働して電力を販売しています。

   2021年10月期のセグメント別売上高(報告セグメントのみ)および同構成比は、業務スーパー事業が3570億円で98.1%、外食・中食事業が40億円で1.1%、エコ再生エネルギーが27億円で0.7%でした。

   セグメント利益は、業務スーパー事業が1074億円でほぼすべてをあげ、エコ再生エネルギー事業は4.8億円。外食・中食事業は4.5億円の赤字でした。

平均年齢39歳、平均年収479.8万円

平均年間給与は右肩上がりとはいかない......
平均年間給与は右肩上がりとはいかない......

   神戸物産の2021年10月期末の従業員数は単体523人、連結1488人でした。

   なお、2020年10月期に連結従業員数が前期比で775人減っていますが、この理由は前述した外食子会社など11社を連結範囲から除外したためです。一方、単体では外食・中食事業の「プレミアムカルビ」新規出店に伴う63人を含む120人が前期比で増えています。

   神戸物産の2021年10月期の平均年間給与(単体)は約479.8万円。平均年齢39歳、平均勤続年数7.8年です。バランスよく新陳代謝が進んでいるようで、ここ数期は平均年齢や平均勤続年数が横バイです。

   神戸物産の採用サイトには、新卒採用の総合職として「コミュニケーションデザイン部」の求人が掲載されています。グラフィックデザイナーやコーダー、ライターやフォトグラファーといった職種で、勤務地は本社。賞与は年2回支給で、昨年度の実績は3か月分でした。

   また、中途採用として「業務スーパーのスーパーバイザー」「システム開発プログラマー」「デザイナー」「CS推進部」「輸入食品のバイヤー」など幅広い職種の求人が掲載されています。スーパーバイザーの給与は月給20~25万円。上限65歳までの再雇用制度もあるそうです。

   神戸物産は中期経営計画として、2024年10月期に売上高4100億円、営業利益320億円、ROE(自己資本利益率)で毎期20%以上を掲げています。売上利益の進捗率は80%超、2021年10月期のROEは29.2%に達するなど、目標達成は射程圏内にあります。

   2021年10月期末時点で、業務スーパーは全国に950店舗(うち直営3店舗)を展開し、47都道府県すべての出店を達成しています。

   特に2021年10月期は、新規出店が77店舗もありましたが、コロナ禍の巣ごもり消費の中でテレビやSNSで注目が高まり、業績好調につながりました。

   国内に自社グループ工場を25か所も擁しており、利益率の高いオリジナルのプライベートブランド商品を企画・製造しています。冷凍野菜や調味料などの自社輸入商品も人気です。また、コロナ禍明けの材料としては外食事業の回復が期待されます。

   なお、神戸物産の株価は、2021年9月13日に4660円を記録。2022年1月も4500円近辺まで上昇しましたが、現在は2800円~2900円前後を推移しています。

(こたつ経営研究所)

こたつ経営研究会
こたつ経営研究会
有価証券報告書や決算説明書などの公開情報を分析し、会社の内情に思いをめぐらすニューノーマルな引きこもり。昼間は在宅勤務のサラリーマンをしながらデイトレード、夜はネットゲームをしたりこたつ記事を書いたりしている。好きなピアニストはグレン・グールド。嫌いな言葉は「スクープは足で稼げ」。
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