30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら...真剣に考えたことある? いくら運用にまわす【その1】(小田切尚登)

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「まず守りを固める」ことが鉄則

   しかし、30歳の人はこれから何十年と生きていかないとならない。ギャンブルをして短期間に大きく財産を減らしてしまってはダメージが大きすぎる。大きな賭けをしたら、よほど運が良くない限りは大きく損をしてしまうだろう。そうならないようにするにはどうすべきかという話だ。

   逆に言えば、仮に持っている株価が一時的に上がって、単発で数百万円とかを増やせたとしても、それは人生にとって大きな意味のある話ではなく、単にラッキーであったということに過ぎない。むしろ安易に成功体験を得ると、過度に楽観的になってしまい、後の人生に悪い影響を与えることが多い。ビギナーズ・ラックに良いことはまずない。

   「一発屋」と言われる人がいる。若い時に一度成功するが、その後ずっとうまくいかず年を経ていく人のことだ。本来ならば、短期間であっても成功したら、その時に稼いだカネを元手にして、その後は安定的な生き方をしていく、というところを目標にすべきところだ。しかし現実にはそのカネもすぐに使い果たしてしまい、その後は貧乏に戻るという場合が多いようだ。いずれまた成功するのではないか、という甘い期待を捨てきれないのだ。

   どんな場合でも「まず守りを固める」というのが鉄則である。サッカーでもディフェンスさえ完璧で点を取られなければ、最低でも負けることはない。株や仮想通貨で大儲けする未来ばかりを夢見る人は、かっこよく点を取ることばかり考えて守りをおろそかにする人と同じだ。こういう人には遅かれ早かれ「想定外」の事が起きてしまい、結局は負ける(大損する)ことになるではないか。

   投資の世界では、相場の乱高下などの様々な場面を想定し、どう転んでも大負けしないようなポートフォリオ(資産の組み合わせ)を作ることが最初の目標となる。これを肝に銘じておきたい。

(小田切尚登)

「30歳のあなたに1億円が舞い込んできたら」シリーズは、こちら。
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小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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