米国経済、1930年代「大恐慌」以来の悪さ? エコノミストが指摘...「景気が急激に失速する」3つの理由

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「どうしたアメリカ!?」

   米国経済の乱調が著しい。2022年4月1日週から5月20日週にかけ、米株式市場でダウ工業株30種平均は8週連続の下落となった。これは、世界恐慌のさなかにあった1932年以来90年ぶりの連続下落記録となった。

   S&P500種株価指数も7週続落で、同時多発テロとIT不況のダブルパンチを受けた2001年以来のこと。

   エコノミストたちは「景気後退は避けられない」「米国は正念場を迎えた」と警戒感を露わにするが......。

  • 米国経済はどうなる?(写真はイメージ)
    米国経済はどうなる?(写真はイメージ)
  • 米国経済はどうなる?(写真はイメージ)

インフレに「粘着性」生じているのが怖い

   米国経済のソフトランディング(経済を急速に悪化することなく、加熱した景気を穏やかに冷ますこと)の可能性は低いと分析するのが、シュローダー・インベストメント・マネジメントのチーフ・エコノミストストラテジストのキース・ウェイド氏だ。

   同氏のリポート「米国経済が景気後退に陥る可能性が高いと考える3つの理由」(5月20日付)の中で、景気後退に陥る可能性が高い理由を3つあげている。まとめると、こうなる。

歴史的な下落となったニューヨーク証券取引所
歴史的な下落となったニューヨーク証券取引所

   (1)インフレが定常化してきた。労働市場がタイト化し、物価上昇圧力が広範に浸透している。特に、インフレに「粘着性」(物価が徐々に変動、沈静化するまでかなりの時間を要する性質)が生じているのが懸念だ。このため、賃金上昇を通じてさらなる物価上昇が起こる「二次的現象」が発生する可能性がある。

   その結果、高い物価上昇率を、物価目標水準まで軌道修正するという米FRB(連邦準備制度理事会)の役割が困難になった。需給バランス調整のためには、景気後退という代償を払って、さらなる金融引き締めを実施する必要がある。

   (2)金融政策が実体経済に影響を及ぼすまでには時間がかかる。過去40年間のインフレ抑制につながったとされる「マネタリズム」(貨幣供給量が実体経済に影響を及ぼすという思想)の提唱者の1人ミルトン・フリードマンによると、金融政策が効力を発揮するまでに、長期&不確定の時間差が生じる。

   このため、金融政策が効力を発揮するまでにどの程度の金融引き締めが必要なのか判断することが難しく、変化がみられるまで政策当局(FRB)は利上げを実施する衝動に駆られる。これは1980年代と1990年代で実際に見られた現象だ。

   (3)世界情勢悪化を受け、金融政策の決断がより複雑になった。インフレへの対応策として、米国のみならず、世界中で金融引き締めが行われている。その結果、世界貿易量や外需が減少する。欧州はウクライナ情勢で重大な影響を受け、ロシア産エネルギーの禁輸を試みている。コモディティ(商品先物)価格が上昇、世界中で実質所得と消費支出の減少を引き起こしている。

   また、中国の「ゼロコロナ」政策が世界経済減速をもたらす一方、ロックダウン期間中の大規模な財政出動の影響もあり、今後、中国の財政政策も緊縮方向へと移行する。

――といった理由で、「ソフトランディングの達成は非常にチャレンジングなものであると考えられる」というのだ。となると、つまり「ハードランディング」(景気の急激な失速)ということになるのか?

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