分野別には「加工食品」が最多...小麦価格と油脂の調達価格高騰
値上げとなった品目は、食品分野別にはどうなるのか。図表2のように、最多は、加工食品の3609品目だった。前月から700品目増加している。なお、4割近くは6月以降の値上げとなる。値上げ率平均は13%。6月以降、小麦価格と油脂の調達価格高騰を背景にした値上げが多く見られたという。
次いで多いのは、調味料の1702品目で、値上げ率平均は10%だった。ドレッシングやマヨネーズを中心に、菜種油など食用油の価格高騰が、価格に反映されたかたちだ。
つづいて、酒類・飲料は1188品目。6月以降の値上げ品目となる割合が約8割と、全分野で最も高かった。これは、円安などの影響に加え、ビール類などでは麦芽・トウモロコシの価格高騰の反映。飲料は、原油から作られるペットボトル原料の価格高騰によって、清涼飲料水の価格が引き上げられることが要因とみられる。
菓子(523品目)は、ジャガイモの不作のほか、油脂、砂糖、包装資材などの価格高騰が響いた。パン(454品目)は、輸入小麦の価格高騰による影響を大きく受け、年内に複数回の値上げを行ったケースもみられるという。
こうした状況に、帝国データバンクは、
「(これまでは)内容量を減らして値段を据え置く『ステルス値上げ』や、小幅な値上げを数回行うことでコストアップを吸収してきたものの、ここに来て大幅な価格引き上げを余儀なくされた例も散見された。
食料品の価格高騰は中長期的に続くとみられるなかで、最近の急激なコストアップによって『企業努力で吸収可能な余力を大きく超えた』ケースが足下で増加している。そのため、今後さらに原材料価格の高騰が続けば、直接売価に反映せざるを得なくなるケースは今以上に増えるとみられ、秋口以降も『値上げラッシュ』は続く可能性がある」
と指摘している。