離農も進むけれど...ダイヤモンド「儲かる農業」、東洋経済「エネルギー戦争」、エコノミスト「超円安」を特集

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燃料高で「電力難民」が急増

「週刊東洋経済」(2022年5月28日号)
「週刊東洋経済」(2022年5月28日号)

   「週刊東洋経済」(2022年5月28日号)の特集は、「エネルギー戦争」。ロシアによるウクライナ侵攻は世界のエネルギー秩序も破壊した。その余波は、日本にも襲いかかっている。

   燃料高で「電力難民」が急増しそうだという。東京電力グループの新電力会社テプコカスタマーサービス(TCS)は、卸電力価格高騰を理由に、4月上旬、従来の2倍を超える大幅値上げを顧客に通告した。値上げに承諾しなければ契約解除も辞さないとしている。

   こうした一方的な大幅値上げの提示が、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)に当たるとして、関西地区の400社を超える顧客企業が公正取引委員会に排除措置命令を出すように求めた。

   卸電力価格はロシアによるウクライナ侵攻後、さらに高騰。3月の平均価格は1キロワット時当たり26円と昨年同月の4倍に跳ね上がった。

   契約打ち切りになった場合に備えて、「セーフティーネット」とされる、最終保障供給契約を他の送配電会社と結ぶ必要があるが、割高になる。しかし、送配電会社側も受け入れに消極的だ。トンネルの出口は見つかりそうにないようだ。

◆ウクライナ危機で「脱炭素」はどうなる?

   ウクライナ危機はエネルギー市場、脱炭素の潮流にどう影響するのか。

   日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員の小山堅氏は「危機は2~3年続く。安全保障と経済効率性のバランスを重視したエネルギー政策が求められる」と話している。

   ただ、再生可能エネルギー導入や省エネを推進しようとしても、効果が出るには時間がかかるため、短期的には天然ガスや石炭、原子力の利用が重要になる、と見ている。

   欧州復興開発銀行の初代総裁を務めた経済学者・思想家のジャック・アタリ氏のインタビューも興味深い。アタリ氏は「脱ロシアにより、EU諸国は持続可能なエネルギーへの移行を加速させ、脱炭素社会の模範生になるだろう」と語っている。

   また、「今回の危機にかかわらず、化石エネルギーからの脱却は既定路線だった。この移行が実現すれば、欧州諸国は先行者利益を得ることができる」と楽観的な見方を示している。

   日本については、発想の転換を求めている。エネルギー消費を減らし、化石エネルギー、さらには他国への依存を減らす社会をつくりだすことを期待している。

   医療、教育、健全な食などの分野を軸に、情報テクノロジーを活用する社会を構築するしかない、としている。

   一方、ユーザー側の対策も取り上げている。

   東京電力エナジーパートナーは、ダイキン工業などと共同開発した「おひさまエコキュート」を活用した新たな電力サービスを1月に発表した。原発など夜間電力の活用を前提としてきた従来のエコキュートの使い方を見直し、昼間の太陽光発電の電力を有効活用するものだ。

   断熱や太陽光発電、電気自動車、電化などユーザー側の取り組みは、CO2の削減を進めるうえで最も費用対効果が高いという。かつてオイルショックが企業の省エネを進めたように、今回のウクライナ危機が家庭の省エネを進めるのか。淡い希望をそこに見出したい。

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