懸念材料は欧州市場での販売、EVでの見劣り
営業増益、増配のほかに市場が注目しているのは収益体質の改善だ。
5月13日には、2023年3月期の業績予想と同時に、2022年3月期連結決算も発表した。その場では、2022年3月期の損益分岐台数(利益が出る台数)が中期経営計画の目標である100万台(2026年3月期)を前倒しで下回ったと説明した。
生産ラインの効率的活用の徹底など、トヨタばりのコスト削減を推し進めた効果があらわれているようだ。
ただ、懸念材料もある。SMBC日興証券は業績予想発表などを受けたリポートで「増益ガイダンス(業績予想)はポジティブだが、欧州銘柄でもある点が難点」と指摘した。
マツダは欧州販売比率が15.8%(2023年3月期計画)と相対的に高いが、欧州市場が振るわないためだ。実際、マツダは2023年3月期計画で欧州の販売台数の伸び率を0.0%と横ばいを見込む。
また、半導体不足の影響が解消する時期についてマツダは2024年3月期後半とみており、影響が長引く点や、他社に比べて電気自動車(EV)への対応が見劣りする点も気がかりだ。
このため、株価が上値を追う展開に持続性があるかどうかは、見極めが必要と言えそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)