マツダの株価が2022年5月13日以降、連日年初来高値を更新し、上値を追う展開となっている。
13日の取引時間中に発表した2023年3月期連結決算の業績予想では15%の営業増益を見込むほか、年間配当予想も35円(2022年3月期は20円)と、15円の増配としたことを投資家が好感している。
円安の恩恵を受ける自動車業界だが、トヨタ自動車の株価が決算発表後に下げ基調になるなど株式市場の反応は一様ではない。マツダの場合は、収益体質が改善していることも評価されているようだ。
調達費用がかさむも、販売台数伸び増益に
それではマツダの2023年3月期の業績予想を確認しておこう。
売上高は前期比21.8%増の3兆8000億円で過去最高を見込む。営業利益は15.1%増の1200億円、最終利益は1.9%減の800億円。
営業利益の主な増減益要因としては、出荷台数の増加とその構成の変化(全体に占める利益の高い車種の割合の増加)が964億円、円安が450億円とそれぞれ増益要因となり、原材料価格の高騰が900億円、物流費の上昇が300億円のそれぞれ減益要因だ。
半導体や鋼材などの調達費用の増加という逆風はあるものの、それを吸収できるだけの出荷台数増などで増益になるというわけだ。
販売台数の計画でみると、世界全体で前期比7.8%増の134万9000台。このうち主力の北米は9.9%増の48万3000台、日本は28.3%増の19万1000台に大きく伸びる。米国向け「CX-50」や日本向け「CX-60」といった高収益の新型車が浸透する。
これらの新型車は足元で、会社想定と比べて受注台数が好調といい、もちろん根拠のない計画ではないようだ。最終利益については、前期に外貨建て債券の評価益が膨らんだ反動が影響し、若干の減益を見込む。
こうした発表を受けて5月13日の株価は一時、前日終値比4.7%増の1032円まで上昇し、1000円の大台を回復。1月13日の高値1025円を上回って年初来高値を更新した。その後の5営業日中、4営業日で年初来高値を更新するほど買いが集まっている。