輸入価格の高騰で高まる「食料安全保障」への関心 政府の食料自給率「2030年度45%」は空疎な目標か!?

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後手後手!? 日本の食糧危機対策

   こうした動きを促した大きなきっかけは2008年に起きた世界的な食料危機だ。この時期、米国がバイオ燃料に力を入れ、原料となるトウモロコシの需要が膨らんだほか、中国などの経済成長の加速で、食の需要が世界的に急拡大した。この結果、多くの途上国では飢餓が生じ、これ以降、世界の穀物価格が高止まりしているといわれている。

   各国が危機感を抱き、域内の農業振興に力を入れているのに対し、日本ではこれまで「情報収集ぐらいの取り組みしか強化されてこなかった」(農業関係者)。実際、2020年度の日本の食料自給率はカロリーベースで37%と過去最低水準に落ち込んだ。食料自給率の向上のための効果的な対策がとられているわけでもなく、30年度に45%に引き上げるという政府目標は空疎に見える。

   一方で中国やロシアでは米国依存からの脱却のため、国産の食料を増やす狙いで農業振興が強化されている。今後は東西冷戦時代のように世界のブロック化が進む可能性もあり、日本にとっての食料調達はますます厳しくなるかもしれない。

   日本の食料・農業関係者の中には「食料は輸入すればいいという意識が国全体に浸透していることが大問題」という声も強い。食料安全保障の議論を進めるには、差し迫った課題であるという国民意識の高まりこそ不可欠ともいえそうだ。(ジャーナリスト 白井俊郎)

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