インターネット投票とウェブのレース配信が追い風
これは、屋外で行われるイベント競技としては、驚くべきことと言えるだろう。
というのも、新型コロナ感染拡大に伴う3密回避、ソーシャルディスタンスの徹底で、レジャーやイベント業界は苦境に直面した。東京商工リサーチが2021年12月に発表した「遊園地・テーマパーク業績動向調査」では、国内テーマパーク167社の最新売上高が、コロナ前より半減以下(54.0%減)となったほどだ。
また、ギャンブルとして競合するパチンコ業界も打撃を受けた。コロナ前より3割近い(26.9%)の売上高減少となり、いまだに厳しい業況が続いている。
それなのになぜ、公営競技が「絶好調」になったのか。新型コロナ感染が拡大した2020年以降、4競技とも一般客の入場を制限、無観客開催をしたり、場外投票券発売所の営業を見合わせたりした。しかし、インターネットを通じた投票券の販売が「ステイホーム」というコロナ禍での新しい生活様式に合致し、「巣ごもり」需要が業績拡大につながったことが大きい。
コロナ禍で、4競技ともインターネット投票が増加した。たとえば、日本中央競馬会の電話・インターネット投票会員数は、2019年に約447万人だったのが、2020年には約506万人、2021年には約561万人と、コロナ禍の2年間で約114万人(25.4%増)増加した。一方、東京都競馬が運営する地方競馬インターネット投票「SPAT4」の売上高も2019年の2399億円から、2021年には4361億円と、コロナ禍の2年間で売上が1.8倍(81.7%増)に急伸した。
インターネット投票の拡大に加え、競技専門チャンネルの普及も売上増を後押ししている。4競技中、JRAレース配信を行う「グリーンチャンネル」と、ボートレース中継を手掛ける「日本レジャーチャンネル」の2法人は前期、最新期と2期連続の増収となり、「巣ごもり」需要が売上拡大に寄与した。
このように、インターネット投票と、ライブ感覚でレースを楽しめる専門チャンネルの普及を追い風に、他のレジャー業界と一線を画して売り上げを伸ばしたかっこうだ。