新型コロナ感染拡大で多くのスポーツ、レジャー、イベントに携わる事業者が厳しい経営を強いられたのに、どんどん売り上げを伸ばした「スポーツ」がある。
それは、「公営ギャンブル」といわれる競馬、競輪、オートレース、モーターボート(競艇)だ。コロナ禍の中で、無観客開催などを強いられたのに、そろってコロナ以前より業績が向上したことが、東京商工リサーチが2022年5月20日に発表した「全国『公営競技関連法人』業績動向調査」でわかった。
いったい、どうして公営競技が絶好調なのだろうか。
4競技すべてが売上高、最終利益ともにコロナ前を上回る
「公営競技」とは、地方公共団体などが主催する「公営ギャンブル」として行なわれるスポーツ競技のこと。日本では、基本的に賭博(ギャンブル)は禁止されているが、政府が公に認めているのが、「競馬」(管轄・農林水産省)、「競輪」と「オートレース」(同・経済産業省)、「ボートレース(競艇)」(同・国土交通省)の4競技だ。それぞれ競馬法、自転車競技法、小型自動車競走法、モーターボート競走法という法律に基づいて行われる。
その収益金が地方財政に貢献しているわけだが、実際に運営するのは、競馬では特殊法人「日本中央競馬会」(JRA)、競輪とオートレースでは公益財団法人「JKA」、ボートレースでは一般財団法人「日本モーターボート競走会」といった中央の公営競技法人と、傘下の地方自治体関連法人だ。
東京商工リサーチの調査結果によると、全国の公営競技(競馬、競輪・オートレース、ボートレース)の関連法人27の業績をコロナ前と比較すると、全売上高は最新期(2020年10月期~2021年9月期)で4兆311億円(前期比7.1%増)と4兆円を突破、コロナ前の前々期(3兆5739億円)を12.7%も上回った=図表参照。
また、4競技すべてが売上高、最終利益ともにコロナ前を上回っている。競馬関連12法人の売上高は、前々期3兆2748億円から前期3兆4351億円(前期比4.8%増)、最新期3兆6315億円(同5.7%増)と、毎期5%前後で伸ばした。
ボートレース関連7法人に至ってはもっとスゴイ。売上高は前々期2035億円、前期2368億円(前期比16.3%増)、最新期3032億円(同28.0%増)で、4競技の中では断トツの2期連続20%前後の伸びをみせたのだ。
競輪・オートレース関連8法人は、売上高は前々期956億円だった。前期は917億円(前期比4.0%減)と減少に転じたが、最新期は964億円(同5.1%増)と再び増加した。