原状回復義務、退去時の費用精算の有無を取り決め
◆ポイント1:「増改築等の申請書兼承諾書」
一般に、「賃貸住宅」とは設備や仕様などを大家さんが管理し、また、修繕を含む維持・管理全般についての義務を負うことで、ユーザーから賃料という対価を得る仕組みです。
これに対して、「DIY型賃貸住宅」は、一定の条件はあるものの、入居者であるユーザーがリフォーム可能な賃貸住宅です。
この一定の条件というのが、DIYを認める旨の特約付き賃貸借契約で、その特約については別途契約書の作成が推奨されています。
契約書とは、「増改築等の申請書兼承諾書」および「合意書」などを指します。以下、この2つを説明していきましょう。
まず、「増改築等の申請書兼承諾書」は、増改築の内容を一覧表にして、それぞれについて所有権の帰属や退去時に撤去するか残置するかを取り決めておく。そして、原状回復義務および退去時の費用精算の有無について、あとでトラブルにならないようにするための基本的な契約書面です。
たとえば、棚を吊るとか壁紙を張り替える場合は、ユーザーが費用負担(自分でDIYするのも楽しそうですね)する代わりに、原状回復義務を負わず、退去時に棚および壁紙の所有権を放棄する旨を事前に合意しておけば、双方にメリットがあります。
ただし、大掛かりに手を入れるような場合は、トラブルになる可能性が高まりますから、事前に契約で合意しておく必要があります。
具体的には、大家さんが賃貸管理などを一任する代わりに、リフォーム費用をサブリース業者に負担してもらう。そして、退去時にユーザー負担分について精算し、その所有権を放棄するといった方法が考えられます。