大事な仕事が滞っているのに、肝心な報告をしてこない部下...どう諭す?【上司力を鍛えるケーススタディ CASE 3】(前川孝雄)

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

定期的な報告の機会をつくり、適切な習慣を身に着けさせる

   とくに、経験が浅い部下に対しては、仕事を任せる際に、あらかじめ「途中経過の報告や相談をするように」と教えておくことが必要です。また、単に報告や相談を求めるのではなく、なぜそれが必要なのかも話しておきましょう。どんな仕事も一人ではできないこと、情報が共有されれば、上司や周囲から適切なサポートを受けられることなどを、噛んで含めるように言って聞かせることです。

   ただし、問題になりがちなのは、部下が自分で報告すべきタイミングを見極められないケースです。そうした部下には、次のような働きかけが考えられます。

   「週に一度は、必ず進捗状況を報告しなさい」と指示をしたうえで、「チームで仕事をするには情報共有が大事なんだよ」と教える。

   若手の場合には、上司に声をかけることをためらう傾向があります。現在はコロナ禍で在宅勤務をする場合も多く、なおさら部下は上司への報告・相談を躊躇しがちです。かつて、初の海外出張に行ったという女性から、次のようなエピソードを聞きました。

「『用もないのに、忙しい上司を電話口に呼ぶのもどうか』と思って、まったく連絡をしなかったら、後で『無事に着いたとか何とか、ちゃんと報告しろ!』と叱られた」

というのです。

   部下は上司が思う以上に、上司に対して遠慮するもの。こと若手部下に対しては、日常の業務に慣れるまでは、上司のほうから声をかけるなりして、ホウレンソウの機会を確保することが必要なのです。

※「上司力」マネジメントの考え方と実践手法についてより詳しく知りたい方は、拙著「本物の上司力~『役割』に徹すればマネジメントはうまくいく」(大和出版、2020年10月発行)をご参照ください。
※「上司力」は株式会社FeelWorksの登録商標です。


【プロフィール】
前川 孝雄(まえかわ・たかお)
株式会社FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師、情報経営イノベーション専門職大学客員教授

人を育て活かす「上司力」提唱の第一人者。リクルートを経て、2008年に管理職・リーダー育成・研修企業FeelWorksを創業。「日本の上司を元気にする」をビジョンに掲げ、「上司力研修」「50代からの働き方研修」「eラーニング・上司と部下が一緒に学ぶ パワハラ予防講座」「新入社員のはたらく心得」などで、400社以上を支援。2011年から青山学院大学兼任講師。2017年働きがい創造研究所設立。情報経営イノベーション専門職大学客員教授、一般社団法人 企業研究会 研究協力委員、一般社団法人 ウーマンエンパワー協会 理事なども兼職。連載や講演活動も多数。
著書は『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHP研究所)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)、『コロナ氷河期』(扶桑社)、『50歳からの幸せな独立戦略』(PHP研究所)、『本物の「上司力」』(大和出版)等30冊以上。近刊は『人を活かす経営の新常識』(FeelWorks、2021年9月)および『50歳からの人生が変わる 痛快! 「学び」戦略』(PHP研究所、2021年11月)。

姉妹サイト