欧米企業「全面撤退」相次ぐが、日本企業「脱ロシア」進まないのはなぜ? 株主の目「厳しい」海外、岸田政権「あいまい」日本

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

岸田政権「撤退するかどうかは企業のご判断で」

岸田政権のロシアに対する「あいまい」な姿勢も日本企業の悩みのタネ
岸田政権のロシアに対する「あいまい」な姿勢も日本企業の悩みのタネ

――なるほど。それにして、ここに来て「ロシア離れ」の動きが鈍ってきたのはなぜでしょうか。ロシアとウクライナの戦争の行方をうかがう「風見鶏」のような印象を受けます。

担当者「率直に言って、日本政府の対応に腰が定まっていないから、企業側も迷っている面があると思います。G7(主要7カ国)でロシアからの石油・天然ガスの輸入禁止を決めました。政府はその経済制裁に同調しながら、日本がロシア極東で進めている天然ガス開発の『サハリン1』『サハリン2』の権益は放棄しない方針を発表しました。
『サハリン1』は丸紅が米国のエクソンモービルなどと共同開発していましたが、エクソンモービルが撤退を発表しました。5月6日の記者会見で丸紅の柿木真澄社長は『できれば撤退したい気持ちはあるが、日本のエネルギー事情への影響を踏まえれば、撤退しないとする政府の方針に従わざるをえない』と述べています。あの苦渋に満ちた丸紅社長の表情が、ロシアに進出した企業経営者たちの迷いを表しています。
『サハリン1』などについても政府の対応は表向き、『撤退するかどうかは、企業さんのご判断で』という立場です。企業側にすれば、政府が欧米のように、もっとはっきり『ロシアから撤退すべきだ』という姿勢を打ち出してくれれば、株主や取引先に説明できます。政府があいまいだから、自分1人で責任を負わなくてならない。ここは政府の『お墨付き』がほしい、というのが経営者の正直なホンネだと思います」
姉妹サイト