「GDPマイナス!」日本経済どうなる? 回復阻む「ロシア・中国・米国」のトリプル危機、救いはインバウンド復活だが...

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国民の景気実感を表す「所得」の数字は悪くなっている

中国が日本経済の今後の最大リスクだ(日中国旗のイメージ)
中国が日本経済の今後の最大リスクだ(日中国旗のイメージ)

   実質GDP(国内総生産)とは、あくまで国内でどれだけ付加価値が生産されたかを示す数字だ。それよりも国民の景気実感を表す数字としては、国内でどれだけの所得が生み出されたかを示す実質GDI(国内総所得)のほうが重要だ、と考える経済専門家が少なくない。

   なぜなら、GDIはGDPを所得面(分配面)からとらえたもので、国内で1年間に支払われた賃金と利潤、配当などの総額を示す指標だからだ。企業の負担や、国民1人1人の家計に直結する数字であり、貿易面で損失が広がれば、公益利得の減少として指標に表れる。

   そういった観点から、実質GDIが実質GDPに比べて、大きく低下したことを問題視するのが、第一生命経済研究所のシニアエグゼクティブエコノミスト新家義貴氏だ。

   新家氏のリポート「交易損失拡大で大幅に落ち込んだ実質GDI~21年度の実質GDIは前年比プラス0.1%にとどまる。進む海外への所得流出~」(5月18日)では、実質GDPの落ち込みが前期比年率マイナス1%なのに対し、実質GDIは前期比年率マイナス2.7%にまで大幅に落ち込んでいることに注目した=図表1参照

(図表1)実質GDPと実質GDIの乖離が広がっている(第一生命経済研究所の作成)
(図表1)実質GDPと実質GDIの乖離が広がっている(第一生命経済研究所の作成)

   これは、「資源価格の高騰によって交易損失が拡大し、海外への所得流出が進み、国内の実質購買力が減少していることを意味する」という。

   このため、新家氏は、

「資源価格の上昇により交易損失が拡大している足元のような状況では、実質GDIの動きを確認することが非常に重要だ。(民間エコノミスト約40人が予測する)ESPフォーキャスト調査(5月調査)による2022年度の実質GDP成長率のコンセンサスは、前年比プラス2.37%となっているが、実質GDIでは実質GDP対比でかなり抑制される可能性が高い。2022年度の実質GDIは2021年度に続いて低成長が予想される」

と指摘する。

   一部の専門家の間では、次の4月~6月期では実質GDP成長率が大幅なプラスに転じると予測、「明るい兆し」ととらえる傾向もあることに警鐘を鳴らしたかたちだ。ちなみに、2021年度の実質GDIは0.1%と、ほぼゼロ成長にとどまっている。

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