学歴による子どもの有無の割合を分析すると...
ただ、少子化にはさまざまな要因が指摘されている。そこで、研究グループは所得階層別の子どもの有無と合計特殊出生率、学歴との関係を分析した。
その結果、1943~1947年生まれと1971~1975年生まれの間で、子どもを持たない人の割合を比べた場合、最も所得が低い年収300万円以下の層を見ると、子どもを持たない人の割合は25.7%から62.8%に増えており、合計出生率も1.74人から0.73人に減っていた。
一方で、最も所得が高い年収600万円以上の層ではどうか。結果は、子どもを持たない人の割合は6.9%から20.0%に増えており、合計出生率は2.10人から1.60人に減っていた=表2。
この結果を見る限り、収入が低いほど、子どものいない割合が増加しており、少子化対策では所得の増加が絶対条件であることがわかる。
ただし、最も所得が高い層(年収600万円以上)でも、子どものいない割合が増加している。くわえて、合計特殊出生率も低下していることから、高所得だけが子どもを持つ条件ではないことも明らかだ。
そこで、学歴による子どもを持っている割合を分析したところ、男性では大卒以上とそれ以下で比較した場合、大卒以上で子どもを持っている割合が大きいことがわかった。
ただ、女性の場合、1956~1970年の間に生まれた人では、大卒以上の方が子どもを持つ割合が少なかった。しかし、1971~1975年の間に生まれた人では、大卒以上とそれ以下で子どもを持つ割合に差はなかった。
これらの分析の結果、男性では子どもの有無、3人以上子どもがいるかどうかは、収入と関係しており、高収入の人ほど子どもを持っている割合が多く、また3人以上の子どもがいる割合も多かった。
また、男性では、非正規雇用・パートタイムの人では子どもを持っている人の割合、3人以上の子どもがいる割合いずれも、正規雇用の人と比べて少なかった。
一方で、女性では、正規雇用の人ではそれ以外の人と比べて子どもを持っている割合、3人以上の子どもがいる割合がとも少なかった。
つまり、男性の場合には、所得、学歴、正規・非正規という雇用形態が子どもの有無に大きく関係している半面、女性では所得、学歴による影響は小さく、一方で正規雇用者では子どもがいる割合が少ないという雇用形態が大きく関係していた。
こうしたことは、所得だけではなく、女性の働き方、働く女性の子育てが少子化に大きく影響していると言えそうだ。
研究結果は4月27日に専門誌「Plos One」に掲載された。