「1つの部品が足りないだけですべての生産が止まってしまう」
「すでにマイナスの影響がある」と答えた企業からは、こんな声が聞かれた。
「中国から冷凍野菜を輸入しているが、ロックダウンで上海からの船便が出港できていない。輸入品が予定日に届かず販売ロスに繋がり業績に影響が出ている(冷凍食品卸売、広島)
「国際物流を生業としているが、特に上海は輸出・輸入ともに重要な港であるため、影響は避けられない。貨物の滞留がここまで長引くとは想像しておらず、上海港より南通市(江蘇省内最大の経済都市)へのシフトも考えているほど影響が大きい」(港湾運送、大阪)
「中国から部品が入らなくなったことで、国内メーカーが製品を完成できなくなっており、他の部品もキャンセルしている」(金属プレス製品製造、兵庫)
「1つの部品が足りないだけですべての生産が止まってしまう企業が多く、直接関係のない我々もそれに巻き込まれている」(金型・同部品等製造、和歌山)
「資材の仕入れはもとより、車両の買い替え時期も大幅に遅れている」(一般管工事、東京)
また、「今後マイナスの影響が出る見込み」と答えた企業からもこんな不安の声が――。
「半導体や部品などの輸入が滞ると、メーカーの売り上げ減少がおき、設備投資意欲が減退する」(熱絶縁工事、大阪)
「中国から輸入する資機材などが品薄状態になることで、物品価格の高騰を招き、購入意欲が弱まりそう」(不動産代理・仲介、埼玉)
「直接の影響はないが、工事に必要な部品などが中国から入荷せず、工事の進行が遅れることで、当社の販売も遅れるという影響は出つつある」(発泡軟質樹脂品製造、栃木)
一方、「すでにプラスの影響がある」と答えた企業の声はこうだ。
「ロックダウンによって既存取引先で納期遅延が発生したとのことで、自社へ金型および製品の発注依頼があった」(工業用樹脂製品製造、大阪)
もっとも、こういうケースは、「棚からぼたもち」というのではなかっただろうか。
帝国データバンクではこう分析している。
「中国・上海市は6月にロックダウンが解除される見込みだが、中国政府が引き続きゼロコロナを続ける事態となれば、生産活動やサプライチェーン(物流網)の停滞、混乱が拡大することが予想される。さらに厳格な外出制限措置などによって、中国経済自体が冷え込む事になれば、今の時点では影響を受けていない日本国内の企業にも、悪影響が広がっていく可能性が懸念される」
調査は、2022年5月13日~16日にインターネットで行い、1653社から有効回答を得た。うち大企業は210社(12.7%)、中小・小規模企業は1443社(87.3%)だった。
(福田和郎)