中国ロックダウン、国内企業の半数「悪影響」 上海が封鎖解除されても中国経済の冷え込み、さらなるリスクに

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   新型コロナを厳格なロックダウン(都市封鎖)で抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策が日本企業に深刻な影響を与えている。

   帝国データバンクが2022年5月17日に発表した「緊急調査:中国ロックダウンの影響に関するアンケート」によると、企業活動にマイナスの影響があると答えた企業は半数近くにのぼった。

   とくに、世界最大の物流基地・上海市のロックダウンが大きな打撃を与えている。上海市当局は5月16日、新規感染者数の改善がみられたとして6月中に封鎖を解除すると発表したが、まだまだマイナスの影響は尾を引きそうだ。

  • ロックダウンされた世界最大の物流基地・上海市
    ロックダウンされた世界最大の物流基地・上海市
  • ロックダウンされた世界最大の物流基地・上海市

上海港沖合で順番待ちコンテナ船が「アリの行列」状態

   調査結果によると、中国が行うロックダウンなどの行動制限によって、企業活動にどのような影響があるかを聞くと、「すでにマイナスの影響がある」(35.5%)と「今後マイナスの影響が出る見込み」(12.9%)を合わせて、「マイナスの影響がある」企業が半数近くの48.4%となった=図表1参照。一方、「影響はない」とする企業も約3分の1の33.8%いた。

(図表1)中国ロックダウンの影響(帝国データバンクの作成)
(図表1)中国ロックダウンの影響(帝国データバンクの作成)

   「マイナスの影響がある」と答えた企業を業界別でみると、「卸売」(60.2%)や「製造」(57.7%)、「小売」(49.5%)を中心に、幅広い業界に中国ロックダウンの悪影響が広がっていることがわかる=図表2参照

(図表2)マイナスの影響を受けた主な業界・業種(帝国データバンクの作成)
(図表2)マイナスの影響を受けた主な業界・業種(帝国データバンクの作成)

   企業からは「上海港が使えないため、原料が中国から届かない。他の港も対応が難しくなっており、調整を続けている」(界面活性剤製造、大阪)といった、上海市のロックダウンによるサプライチェーン(物流網)の混乱が、企業活動へ響いているとの声が多くあがった。

   報道によると、コンテナ取扱量世界一を誇る上海港そのものは通常通り稼働している。だが、封鎖管理の厳格化によって、物資を輸送するトラックが港まで入りにくい状態が続く。また、港湾労働者の数も足りず、コンテナ作業が追いつかない状況だ。このため、上海港の沖合では多くのコンテナ船が順番待ちのために停泊。衛星カメラの映像を見ると、長いアリの行列のような光景になっているほどだ。

   さらに、影響の大きい「卸売」と「製造」を業種別に詳しくみると、「化学品製造」(73.8%)、「機械・器具卸売」(66.4%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業」(62.6%)、「機械製造」(56.6%)での悪影響が、とりわけ大きくなっている=再び、図表2参照

   企業からは「客先で使用する部品が入ってこないため、当社への注文品も5月分すべてキャンセルされた」(ガス・石油機器製造、群馬)と、中国からの機械関連などの部品や原材料の入荷の遅れが企業活動に打撃を与えているとの声が多く聞かれた。

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