「楽観や悲観は禁物」...このリスクを乗り越えるには?
こうした分析を読み解くと、暗い気持ちになるが、明るい材料はないのか。
J.P.モルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト前川将悟氏は、リポート「弱気相場入り目前の米国株。今後の見通しは?」(5月16日付)の中で、世界経済の2大リスクである「米国の景気後退懸念」と並び、「中国不安」についても触れている。
「新型コロナの感染拡大や都市封鎖を巡っては、短期的に予断を許さない状況が続き、中期的にも不透明感が残るでしょう。とはいえ、上海の新規感染者数の減少傾向などを踏まえれば、そう遠くないうちに一旦最悪期を脱する一方、今後は年後半にかけて景気下支え策の効果発現(図表3のクレジット・インパルス【黄緑色】の反転など)に対する期待が徐々に高まると考えます。米国と同様に中国景気に対しても、過度な楽観や悲観は禁物でしょう」
そして、こうアドバイスするのだった。
「当面は世界的な『スローフレーション』(=(1)高インフレ&(2)景気減速)が続く可能性が高く、引き続きその対策が必要と考えます。(1)の高インフレに対応する観点からは資源関連株式など、(2)の景気減速に対応する観点からはディフェンシブ株式やインカム系資産が有望と考えており、今後もこれらの資産への分散投資を継続したいところです」
(福田和郎)