世界が衝撃「中国経済そんなに悪いのか!」 急失速にエコノミスト指摘「避けられるリスクを突き進む習近平のはまった罠」

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高学歴化が進むほど、若者の失業と人出不足が増える謎

   ところで、中国では高学歴化が進み、大学卒業生が増えているが、それが深刻な失業率の増加を招いているという興味深い分析がある。三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部研究員の丸山健太氏がまとめたリポート「中国の高学歴化と雇用のミスマッチ」がそれだ。

   丸山氏によると、2022年の大学卒業者数は1076万人と、初めて1000万人を超える見込みだ。これが、膨大な数の雇用のミスマッチを生み、人出不足と同時に若年層(16~24歳)の失業率悪化を招いているという=図表2参照

(図表2)都市部調査失業率の推移(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの作成)
(図表2)都市部調査失業率の推移(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの作成)
「背景には、大学新卒者の希望職種が専門知識を要するホワイトカラーに偏る一方、労働需要が強く、人手不足が深刻化しているのは(中略)販売員や配達員といった日常生活を維持するために不可欠な、いわゆる『エッセンシャルワーカー』や、輸出好調な製造業におけるブルーカラー職種であるという事情がある」

   たとえば、上海市では企業の求人より求職者のほうが多い業種を見ると、「不動産経営管理専門職」(求人倍率0.5倍)、「会計専門職」(0.5倍)、「図書資料専門職」(0.5倍)」と、いずれもホワイトカラー職種だ。大卒者がなりたくても中々なれない。一方、企業の求人は多いが求職者が少ない業種は「商品販売員」(8.0倍)、「機械製造基礎加工職」(6.0倍)などブルーカラー職種だ。こちらは人出不足が深刻だ。

   「こうした労働市場での職種ごとの需給のミスマッチは、大卒者の増加が続くことにより、一段と拍車がかかる」という。しかし、肝心の中国経済を牽引するIT専門人材などは「企業が求める水準を大学新卒者が超えていないことも、雇用のミスマッチを生む一因とされる」というから、事態は深刻だ。

   丸山氏は、「雇用のミスマッチ問題の解消は、社会秩序安定の維持や経済成長の持続のためにも、政権にとって優先度の高い課題である」と警鐘を鳴らしている。

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