もし中国が回復しても、世界経済には新たなリスクが!
西濵徹氏と同じく、習近平政権の頑なな「ゼロコロナ」戦略が、秋の共産党大会までの「重し」になると指摘するのは、矢野経済研究所社長の水越孝氏だ。水越氏のリポート「中国『ゼロコロナ』政策、世界はその先にやってくるリスクに備えろ」(5月12日付)では、こう述べている。
「秋の共産党大会を前に『現指導部が自らの誤りを認め、方針を転換することはない』との見方は根強い。当局が発した『職務怠慢による感染拡大に対する責任は厳しく問う』とのメッセージは地方官吏にとって絶対的な行動指針だ。『ゼロコロナ』が続く限り正常化は遠いと言わざるを得ない」
しかも、共産党大会が終わった後に中国経済が回復したとしても、それはそれで世界経済にとって大きな脅威になるというから、さらに厄介だ。
「巨大な需要の戻りはエネルギー、食料、資材、物流における世界的な供給不足を招来するはずであり、ロシアの軍事侵攻に伴う物資の高騰に拍車をかけることになるだろう。いずれにせよ目の前の混乱への対処と並行して『その先』にやってくるリスクを想定した戦略シナリオを準備しておく必要がある」