2023年卒大学生・大学院生の就職活動が本格化している。新型コロナウイルスの拡大が一段落したこともあり、企業側も過去2年間、思うようにできなかった若い人材確保の挽回に懸命だ。
そんななか、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2022年5月13日、2023年卒大学生・大学院生を対象にした就活状況を調べた「2022年4月1日時点 内定状況」を発表した。
5月1日時点で早くも内定率は約6割に達し、昨年を上回るハイペースで進んでいる。
理系が文系よりハイペースで内定獲得
それによると、就職内定率(大学院生を除く)は58.4%で、同じ時点の昨年(2022年卒対象)の51.3%に比べ、7.1ポイントも上回る早いペースだ=図表1参照。理系が64.1%と、文系の56.1%を8ポイントも上回っている。また、男性(59.6%)のほうが女性(57.2%)よりも内定率がやや高いことが目につく。4月は女性のほうが高かったから、追い込みで逆転したことになる。
内定取得先の業種をみると、情報・通信業が29.2%と、ダントツに高いことが特徴だ=図表2参照。ITスキルを持つ人材は、世界的に奪い合いが激しい。とくに、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業が積極的に「囲い込み」に動いているからだろうか、選考が早く進むようだ。次いで、小売業(13.6%)、サービス業(13.2%)、製造業(機械器具以外、12.7%)、機械器具製造業(12.3%)と続く。
内定を取得した企業数をみると、平均1.99社で、1社が48.3%と一番多いが、4社以上が計8.5%もおり、優秀な学生は早くから複数の企業から内定をもらっていることがわかる=図表3参照。
「しっかりと計画を立てて企業を目指そう」
一方、すでに就職先の企業を決めた進路確定率も約4割の38.6%と、就職活動が終盤戦に入ったことがうかがえる=図表4参照。こちらも、昨年の同時点(33.3%)より4.7ポイント高い。内定確定先企業の業種をみると、やはり情報・通信業が24.6%と、ダントツに高い=図表5参照。次いで、機械器具製造業(10.7%)、サービス業(9.8%)、製造業(機械器具以外、8.6%)と続く。
また、今年1月~4月の各就職活動の実施率では、「就職に関する情報を収集した」(86.9%)、「エントリーシートなどの書類を提出した」(81.9%)、「適性検査や筆記試験を受けた」(79.9%)、「Web上での面接を受けた」(73.9%)などが上位に並んだ。
しかし、具体的な活動内容を見ると、「合同説明会・セミナーに参加した」は2月が最も高い。ほかに、「個別の説明会・セミナーに参加した」「エントリーシートなどの書類を提出した」などは3月中が最も高い傾向にあり、就職活動の準備段階は3月に集中している様子がわかる。
一方、「最終面接」を含む「面接選考」は4~5月にピークを迎える見込みで、5月中にさらに内定取得、就職先確定が進みそうだ。
就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏はこうコメントしている。
「面接選考(最終面接含む)と最終面接については、(5月に前年より)10ポイント以上増加する見込みとなっています。(中略)今後学生の皆さんは、面接など予定が立て込む方も多いと思います。しっかりと計画を立てて、自分の希望する企業の選考に向けて、引き続き取り組んでいきましょう」
調査は、2022年5月1日~9日、2023年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生7636人(大学生6261人・大学院生1375人)にアンケートした。
(福田和郎)