五月病で「会社やめたい」6割...その原因は? 上司と部下ができることは...

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   5月のゴールデンウィークが明けて、心身の不調はないだろうか。自分でも気づかないうちに疲れやストレスがたまるなど、いわゆる「五月病」には気をつけたいものだ。

   そんななか、識学(東京都品川区)では五月病になった人、同僚・部下が五月病になった人の合計300人を対象に、五月病になった際の仕事への影響、対処などについて聞いた。2022年5月9日に、「五月病に関する調査」を発表。五月病にならないために、上司と部下がとるべき対応とは――。

  • 「五月病に関する調査」に注目(写真はイメージ)
    「五月病に関する調査」に注目(写真はイメージ)
  • 「五月病に関する調査」に注目(写真はイメージ)

五月病の症状、原因、対処法はどうだったか?

   調査で、五月病に対してどのような症状があったかを聞くと(五月病になった150人が対象/複数回答)、最多は「やる気が出ない」で65.3%。次いで、「憂うつ感」(54.0%)、「不安感」(36.0%)、「無力感」「倦怠感」(いずれも35.3%)となった=図表1参照

   また、五月病にともなう仕事への影響について聞いた質問では、「業務に集中できなくなった」(55.3%)、「作業スピードが落ちた」(32.7%)、「ミスが増えた」(24.0%)と続いた。ちなみに、「仕事に影響はなかった」とした人も16.7%いるが、やはり少なくない人が職場でのパフォーマンス低下を感じているようだ=図表2参照

(図表1)五月病の症状(識学の作成)
(図表1)五月病の症状(識学の作成)
(図表2)五月病にともなう仕事への影響(識学の作成)
(図表2)五月病にともなう仕事への影響(識学の作成)

   一方で、五月病になった際、どのように対処したか――。これについては、多い順に、「睡眠をとる」(26.0%)、「休暇をとる」(25.3%)、「運動をする」(14.7%)、「仕事の量を抑える」(11.3%)、「趣味に没頭する」(9.3%)など=図表3参照

   そして、「何が原因で五月病になったと思うか」では、「社内・社外の人間関係」(38.7%)、「業務内容・役割の変更」(29.3%)、「転勤・部署異動」(16.0%)、「上司・部下の入れ替わり」(10.7%)などがあがっている。傾向としては、「人間関係」にありそうだ。ちなみに、「特定の原因はない」が32.0%だった。環境の変化から、自分でも気づかないうちに、心と身体への不調を感じている様子がうかがえる=図表4参照

(図表3)五月病になった際の対処(識学の作成)
(図表3)五月病になった際の対処(識学の作成)
(図表4)五月病の原因(識学の作成)
(図表4)五月病の原因(識学の作成)

五月病にならないために...上司と部下へのアドバイスとは

   調査ではもう一歩踏み込んで、「五月病がきっかけで会社をやめたいと思ったことがあるか」を聞いたところ、60.0%が「ある」=図表5参照。五月病は仕事への影響のみならず、離職の可能性を高めるようだ。

(図表5)五月病がきっかけで会社を辞めたいと思ったことは?(識学の作成)
(図表5)五月病がきっかけで会社を辞めたいと思ったことは?(識学の作成)

   加えて、「五月病になった際、企業からどのようなサポートがあったか」の質問に対しては、「長期休暇取得」(12.0%)、「業務内容の変更」(6.7%)、「異動」(6.0%)があがったものの、一方で77.3%は「サポートはなかった」=図表6参照と答えた。

   なお、「企業のサポートにより、五月病の症状は改善されたと思うか」に対しては、「改善された」14.7%、「やや改善された」55.9%で合計70.6%がポジティブな方向に進んだ、という結果も出ている。

(図表6)五月病で会社からあったサポートは?(識学の作成)
(図表6)五月病で会社からあったサポートは?(識学の作成)

   最後に、五月病にならないために、ゴールデンウィークの連休明け前後に「意識的に行うこと」についても聞いている。その結果は、「規則正しい生活をする」が54.7%で最多。「連休明け直後はゆったり仕事をする」(33.3%)、「連休が明ける前日や前々日から気持ちを切り替える」(28.7%)、「上司・部下・同僚と会話をする」(26.7%)などと続いている。連休中はできるだけ生活リズムを崩さずに過ごすとともに、連休明け後は徐々に仕事を慣らすことがポイントのようだ。

   今回の調査を受けて識学は、上司と部下との関係に着目して、次のように具体的にアドバイスしている。

「(五月病を防ぐには)上司が明確な『目標』と『ルール』を設定し、業務のみに集中できる環境を構築することです。この際重要なのは、目標もルールも解釈がズレないようにするということです。
例えば『なるべく多く契約をとる』『その日中に日報を書く』では、とるべき契約の件数、日報の提出先や期限が不明で、人によって解釈にズレが生じてしまいます。これを『月の契約数5件』『日報をその日の18時までに上司に提出する』というように、誰でも同じ解釈ができる明確な目標・ルールにすることで、部下の無駄なストレスを軽減できます」
「(部下は)まず、求められていることや自分がとるべき行動がわからなくなったら、すぐ上司に確認をしましょう。ほかにも、仕事量が多すぎると感じる場合には相談しましょう。ただし、この場合は、上司と解釈がズレないように、『○○の業務に×時間かかっています』のように、客観的事実をベースに報告してください。 五月病は、『連休明けの気の緩み』で片付けられるようなものではありません。特に新入社員に対しては、このような適切なマネジメントで五月病を未然に防ぐことが上司に求められていると言えるでしょう」

   なお、調査は2022年4月8日~11日に実施。対象は、全国の従業員数10人以上の企業に勤める20歳~59歳の男女で、自身が五月病になった人、同僚・部下が五月病になった人、計300人(男性237人、女性63人/自身が五月病になった150人、同僚・部下が五月病になった150人)。

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