経験的過信や過度なコスト意識が慢心を生む!
このような大事故が繰り返されてもなお、今回のような人為的な事故が起きてしまうのは、ひとつには「自社は今まで大丈夫だったから、今回も大丈夫だろう」という経験的過信から「安全性」を軽視してしまう油断によるケースがあります。
もうひとつには、「安全性」の瑕疵には気が付きつつ、このままではよくないと感じていながらも、収入増強や管理コスト削減を優先して「安全性」を後回しにした結果、大事故につながったというケースです。
前者は怠慢経営による「安全性」軽視、後者はいわゆる金儲け主義による「安全性」軽視です。どちらも経営者失格ではありますが、とくに後者は、企業経営にとって最も恥ずべき犯罪的行動であるとの認識が必要でしょう。
報道によれば、今回の事故は、他社が運航を開始する時期よりも早く単独でツアーをはじめたこと、日常的に多少の天候の不安があっても船長に出航を指示していたとの関係者談話などから、より後者の色合いが濃いと考えられます。
世の多くの経営者が今回の観光船運営会社のような、金儲け優先で「安全性」を軽視しているということがないと祈るばかりですが、この事故を聞いて、ひるがえって自らの経営に少しでも疑念を感じるような経営者がいるなら、すぐにその姿勢を改めてほしいと思うところです。
「安全性」とは、必ずしも人命を危うくするか否かが基準ではない、ということも申し添えておきます。自社製造の機械や部品取り扱いにおける事故防止や、今ならばサービス業におけるコロナ感染予防なども、収益に先んじて対応をはかるべきものとの認識が必要です。
以上の関連で、経営において顧客満足度を引き上げる「対顧客対応のあるべき三原則」の話をしておきます。