「これからバリバリ働こうと思っていたのに!」。3人の子を持つ30代後半の女性看護師の投稿が炎上気味だ。
育休を経て介護施設の職場に復帰したら、自分が一から仕事を教えた「後輩」が仕切っていた。「だいぶ利用者さんも変わりましたので...」と、投稿者は単純作業しかできないという。そのうえ、上司からは「楽なポスト」への異動を勧められた。
この女性の子が病気がちで、月に7日も早退、病欠する理由からだったが、女性は異動を拒否して元の仕事への復帰を望んでいる。
「自分勝手すぎる。職場の大迷惑」という声が圧倒的だが、育休の遅れを取り戻したいという女性の願いは、許されないのか? 専門家に聞いた。
育休後、責任ある仕事から外れる「マミートラック」とは
<「バリバリ働きたいのに!」育休復帰後、職場仕切る後輩に単純作業させられる女性看護師の嘆き でも、月7日の早退・欠勤もあって... 専門家の見方は?(1)>の続きです。
――今回の件の背景には、育休後の職場復帰では、どうしたらスムーズに仕事をしていくことができるか、という問題があります。川上さんが研究顧問をされている、働く女性の実態を調べる「しゅふJOB総研」で、この問題を調査したことがありますか。
川上敬太郎さん「投稿者さんは、育休が明けて元のフロアに戻ったにもかかわらず、単純業務しか対応させてもらえないことに強い不満を感じているようです。これは、産休育休後に責任ある仕事や出世コースなどから外されてしまう『マミートラック』に入れられた状態のようにも見えます。
投稿者さんが『マミートラック』に入れられたと理解するべきなのか否かは、職場が投稿者さんに対して単純業務しかお願いしない理由によって変わります。
『しゅふJOB総研』の調査では、仕事と家庭の両立を希望する主婦層に『上司は育児等、家庭の制約がある主婦層の社員に対しても、仕事の成果を求めるべきだと思いますか』と尋ねたところ、85%が『思う』と回答しました。
◇上司は主婦に仕事の成果を求めるべきか
そう回答した理由として、79%の方が『働く以上は主婦であっても成果を出すべき』と答えています。家事や育児など家庭の制約を受けることが多い主婦層は、早退や欠勤などが起きやすい生活環境に置かれています。しかし、働く主婦自身が大半は、仕事で成果を求められるべきだと考えています。職場は仕事の戦力として雇用しているわけですから、当然のことです。
投稿者さんが、ご自身が望む仕事で成果を出せるにもかかわらず、単純業務しか任されないとしたら、職場側の偏見によって『マミートラック』に入れられたように見えます。しかし、月に7日間早退・欠勤してしまい、成果が出せる状況ではないのであれば、職場としては投稿者さんに『戦力として』、今は単純業務に従事してほしいと考えているのだと思います。
当然ながら、単純業務も職場に必要な大切な仕事です。その場合、投稿者さんが単純業務をしっかりとこなすことが成果となります」