警察庁が高齢者向けに2022年5月13日から導入する「安全運転サポート車(サポカー)」限定免許で運転できる国内8メーカーの対象車種を初めて公表した。
自動ブレーキやアクセルとブレーキの踏み間違い対策などがあるサポカーの中から、今回はトヨタ自動車、日産自動車、ホンダなど国内乗用8メーカーの125車種が対象車になった。
免許返納が困難な高齢者を想定
サポカー限定免許は、高齢のため運転に不安があるものの、日常的にクルマを使用する必要があるため、免許の返納が困難な高齢者の利用を想定している。運転免許証の更新に合わせて申請すれば交付され、免許証には「普通車はサポートカーに限る」と記載される。オートマチック車限定免許と同じ方式だ。
サポカー限定免許の対象になったのは、トヨタでは、ヤリス、アクア、カローラ、プリウスなどのファミリーカーのほか、クラウン、レクサスなどの高級車、C-HR、RAV4、ハリアーなどのSUVと幅広い。
スポーツカーのGR86もスバルのアイサイト搭載のAT車が対象となったほか、本格的なオフロード4WDのランドクルーザー、トヨタ初の量産電気自動車(EV)bZ4Xも含まれた。
これに対して、日産はデイズ、ルークス、ノート、マーチといった軽自動車と小型車が中心で、EVリーフも対象となった。珍しいところでは大型ワンボックスワゴンのエルグランドが含まれている。スポーツカーのフェアレディZやGT-Rは対象にならなかった。
この他のメーカーも高齢者の利用を意識した軽自動車や小型車が大半だが、スバルからはスポーツカーBRZとWRXが、アイサイト搭載のAT車が対象になった。スズキではオフロード4WDのジムニーも含まれた。EVではトヨタのbZ4Xと姉妹車のスバルソルテラも対象だ。
サポカー限定免許の高齢者が実際にGR86やランドクルーザーなどを選ぶかどうかはわからない。しかし、いずれも安全運転支援システム搭載のクルマなので、クルマ好きの高齢者にとっては選択の幅が広がったのは朗報だろう。
安全支援システムの過信に注意呼び掛け
すでに購入したクルマをサポカー限定免許で運転する場合は、自分のクルマが今回発表の対象車に該当するか確認する必要がある。サポカー限定免許で、対象のサポカー以外のクルマを運転した場合は道路交通法の「免許条件違反」になるので、注意が必要だ。
サポカー限定免許の対象車両は、自動車検査証(車検証)の車台番号と、警察庁が今回ホームページで公表したメーカー別の対象車両リストを照合することで確認できる。対象となるサポカーは今後も随時更新するという。
果たして、サポカー限定免許と対象サポカーが交通事故防止に役立つか――。警察庁は「サポカーは自動運転装置とは異なり、運転者が絶えず周囲の状況を確認しながら運転操作を行う必要がある。サポカーの運転支援技術の限界や注意点を正しく理解し、技術を過信せずに運転してほしい」と呼び掛けている。(ジャーナリスト 済田経夫)