メンタル不調なら、職場の人とはなるべく接触しないで
クリニック・ドクターの選び方、治療・薬などで知っておいたほうがいいことにも章を割いている。
精神科の薬には、抗うつ薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、気分転換約・抗てんかん薬の5つのグループがあり、薬によって最大用量はまったく異なることや薬を飲み続けることは、負けでも悪でもないことを書いている。
さまざまなQ&Aも載っている。「会社の親しい同僚とは、連絡を取り合ってもいいでしょうか?」という質問に対して、「仲がいい同僚だったとしても、ダメージを受けるので、なるべく接触しないほうがいいでしょう」と答えている。
会社の人と接すると、どうしても働いていたときのことを思い出し、何を言われてもダメージを受けるからだそうだ。決まった人事労務担当者1人だけと、月に1回だけメールでやり取りをすることを勧めている。
評者の周辺でもメンタルな不調から回復した人は少なくないが、残念ながら最悪の事態に至った人もいる。本書を当事者だけでなく、管理職にも読んでもらい、メンタルヘルスへの理解を求めたいと思った。長時間労働になるほどメンタル不調の傾向が増えていくからだ。
(渡辺淳悦)
「元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術」
尾林誉史著
あさ出版
1650円(税込)