ちゃんと休むと、4段階で回復していく
ちゃんと休むと、4段階で回復していくという。セロトニンなどの神経伝達物質が少しずつ増えて、心のウォーミングアップが始まる第1段階。
すると、休むことに飽きてきて、自分の好きなことに少しずつ取り組むようになる第2段階がやってくる。でも、頑張らないようにする。少しずつ持続力や集中力が戻ってくる。
第3段階になると、働きたいという意欲が出て、リワークを始める。休職した場合のリハビリのことだ。日中ちゃんと起きているとか、ある程度の作業負荷に耐えられるよう、机に向かうだけでいい。ネットで興味のあることを検索するでもいいそうだ。作業をしているような姿勢と状況を作り、準備していくことが肝心だ。
第4段階で、復職への準備をしていく。会社によって、復職の制度には違いがあり、いきなり週5日のフルタイム勤務が求められる場合は、準備が必要になる。
尾林さんの診察を受けた2人が体験を語っている。そのうちの1人、外資系IT企業に勤務する43歳の女性は、転職試験もリモート、仕事もリモートで始まった。睡眠時間を削って仕事をするうちに眠れなくなり、下痢や吐き気が続き、オンラインで泣き出してしまい、産業医と面談し、尾林さんを紹介された。
休職して休めと言われたが、どうしたらいいかわからなかったという。ところが、5、6週間目で世界を覆っていた膜が、急にすーっとなくなり、はっきり見えるようになった。2か月たったところで、復職を希望し、翌月から週3日、残業なしで働くようになった。
「ふられた仕事を全部こなさなくても、まあいいや」と思えるようになり、自分に対する意識が変わったそうだ。尾林さんは、理想的な形での回復だが、「誰もがこんなにスムーズにいくわけではない」と付け加えている。