メンタルが不調な人に勧めたいのが、本書「元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術」(あさ出版)である。タイトルにあるように、サラリーマン経験のある精神科医が書いた本だ。回復して、前よりもよくなるというその秘訣とは?
「元サラリーマンの精神科医が教える 働く人のためのメンタルヘルス術」(尾林誉史著)あさ出版
著者の尾林誉史さんは精神科医・産業医。東大理学部を卒業後、リクルートに入社。厳しい営業の日々にうつ状態になったという。
異動した職場の後輩がメンタルを崩したため、産業医の面談に付き添って行ったことがあった。そこで、「休んでください。クリニックは自分で探してください」という対応に怒り、退職して医学部編入試験を受け、弘前大学医学部に合格。現在は、東大医学部付属病院精神神経科に所属しながらクリニックの院長を務める。
メンタル不調かどうか、4つのチェックポイント
最初に、メンタル不調、抑うつ状態になっているかどうかをチェックする4項目を挙げている。
1 なんだかうつうつとしている
2 最近、大好きなことに、楽しんで取り組めていない
3 三大欲求(睡眠、食欲、性欲)が弱くなっている
4 おっくう感があって、やる気が起きない
これらの4つの状態が2週間以上続いていたら、心の水位が下がっているので、以下の対応を勧めている。
・仕事の量が多過ぎるなら減らせるか?
・仕事の質にやりがいを持てるようにできるか?
・人間関係をスムーズにできるか?
これらを総合的に判断して、工夫や改善がある、周囲のサポートが得られるというのなら、状況は好転する可能性もある。しかし、望めない場合はどうするのか?
もうダメだなとなって心に症状が出ているのだから、「まず休むこと」だ。「期間は1か月から2か月ぐらい。ちゃんとダラダラすると短くなる」と書いている。
何日か食べなくてもいいし、運動なんてしなくてもいい。風呂に入らなくてもいい。できないことを納得して休むことを優先する。
配偶者や親の理解が得られないこともあるが、仕方がない。この段階では、会社を辞めるなどの結論を出さず、不安と焦りと折り合いをつけて、正しく休むことがなによりも先決だ。
調子が戻っても、仕事モードに入るのを急がないこと。会社のメール、LINEなどは見られないようにしておくことも大切だ。仕事や家事をすると、以前の自分と比べて、気持ちが萎えてしまうので、やらない。雑誌をめくる、動画を観るといった、負荷の軽いことから始める。