ゴルフ場で結びつく財界人
「週刊ダイヤモンド」(2022年5月14日号)は、「ゴルフ大全」と題し、ゴルフを通じた財界人の人脈やゴルフ場ビジネスについて特集している。
初夏を迎え、ゴルフを楽しむ絶好のシーズンがやって来た。ゴルフ場支配人とアマチュアゴルファー939人が選んだ「プレーして最もよかったゴルフ場」ランキングを掲載している。
1位になったのは太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)と、川奈ホテルゴルフコース(同)だ。太平洋御殿場は、男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」が毎年開催され、松山英樹選手監修のもと、2018年に全面改修された国際基準のトーナメントコースである。
もう1つの川奈は、西武グループが運営するパブリックコースで、富士コースは女子プロツアー「フジサンケイレディスクラシック」の舞台で、「東洋一難しい」とされるトーナメントコースだ。「景色が素晴らしい」「風光明媚で美しい」と評判は高い。
3位は廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県)、4位はザ・サイプレイスゴルフクラブ(同)、5位はABCゴルフ倶楽部(同)、6位には袖ケ浦カンツリークラブ 新袖コース(千葉県)、ゴールデンバレーゴルフ?楽部(兵庫県)、フェニックスカントリークラブ(宮崎県)が並んだ。
一方、「二度と行きたくない」ゴルフ場には、業界最大手のアコーディア・ゴルフが運営するゴルフ場がワースト14のうち5コースを占めるという結果になった。アコーディアは全国に最多の169コースを保有。アコーディアに次いで多い146コースを持つパシフィックゴルフマネージメント(PGM)が運営するゴルフ場は1コースにとどまった。
この違いについて、低価格路線のアコーディアには初心者が多く、マナーの順守が徹底されないため、ベテランゴルファーの不満につながっているのでは、と見られている。
余談だが、評者である私はアコーディア傘下のゴルフ場のメンバーだが、混雑しているという指摘はたしかにうなずける。だが、その分、料金が安いと割り切っている。「二度と行きたくない」とまで言われるのは少々心外に思った。
さて、限られたエリートしか入ることのできない名門ゴルフ倶楽部は、エスタブリッシュメントが集う「最強のサロン」であり、ゴルフ人脈が培われているという。今回の特集では、ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長とソフトバンクグループの孫正義代表取締役会長兼社長執行役員の華麗な「ゴルフ人脈」を公開している。
孫氏は米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏、スタートトゥデイ代表取締役社長の前澤友作氏、GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏らと、ゴルフを通じた交友を深めたという。霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)などのメンバーで、自宅にはゴルフシミュレーターを設置。シングルハンディ並みの腕前だとされる。
また、柳井氏が通い詰めるホームコースは一時会員権価格が4億円を超えた名門の小金井カントリー倶楽部(東京都)。そこで、鈴木敏文・セブン&アイホールディングス名誉顧問と距離を縮めたという。それともう1人、ゴルフを通じて結びついたのは、ニトリホールディングスの似鳥昭雄代表取締役会長だ。2人はスリーハンドレッドクラブ(神奈川県)で定期的にランドを重ねているそうだ。
それがきっかけで、ユニクロとニトリがタッグを組んだ兵庫県の宝塚歌劇場前店が誕生したというから、ゴルフ場でビジネスが動いているのだ。
このほかに、鉄鋼業界と総合商社の重鎮が集う鷹之台カンツリー倶楽部(千葉県)の「鉄鋼マスターズゴルフ大会」の裏側など、ゴルフに関心のあるビジネスパーソンに興味深い記事が満載だ。なぜ、ゴルフがある種の人たちに欠かせないものであるかがわかるだろう。