ジョブ型雇用で「低学歴化」から抜け出す!
1990年代に、政府が音頭を取って大学院の重点化を推し進めた時期があった。博士を活かす組織内改革をスルーして「博士を諸外国並みに増やせば生産性も上がるだろう」とやってしまったわけだ。
結果は、博士課程は修了したものの、新卒採用に応募すると「博士は対象外です」と言われ、中途採用に行けば「職歴がない人は対象外です」と言われる高学歴な就職難民が量産されることとなった。
おそらく今回のニュースを読んで、当時を連想した人は少なくなかったのではないか。
とはいえ、今、日本は100年に一度レベルの大転換期にある。日本経済団体連合会が終身雇用・年功序列はもはや維持できないと白旗を掲げ、実際に少なくない数の大企業が脱・年功序列であるジョブ型雇用に舵を切っているからだ。
【参考リンク】
「『雇用制度全般の見直しを』中西経団連会長 経済3団体トップの年頭所感」(日本経済新聞 2022年1月1日付)
ジョブ型雇用は「伸びしろ」や「ポテンシャル」の対極にある考え方と言っていい。いま担える職責で処遇が決まるなら、年齢やポテンシャルは関係なくなるし、人より長く勉強することが意義を持つようになる。
また、年功序列というレールがなくなることで、途中で大学院に戻って学び直すという社会人も増えるだろう。90年代と比べて、状況はかなり変わってきていると言える。
今後ジョブ型雇用が浸透していく中で、徐々に日本の「低学歴化」も修正されていくのではないか、というのが筆者の見方だ。
(城繫幸)