申込者の増加は「出願期間の延長などが影響」
専門区分別では、法文系が1万1435人(大学院卒469人、大卒程度469人)、理工系が2778人(大学院卒888人、大卒程度1890人)、農学系が1117人(大学院卒299人、大卒程度818人)だった。
全体に占める割合は、法文系が74.6%を占め、例年と傾向の変化はない。だが、前年度比の伸び率では法文系が6.6%の増加だったのに対して、理工系は9.7%の増加と理工系が伸びている。
女性の申込者では、法文系の大卒程度で全体の45.4%と約半数を女性が占めた。とくに、法文系の人間科学区分では、大学院卒の63.2%、大卒程度の66.8%、合計で65.9%が女性の申込者となり、男性を上回っている。
今回の試験から新たに設けられた理工系のデジタル区分は大学院卒60人、大卒程度147人の合計207人だった。このうち女性は大学院卒で8人、大学卒程度で31人、合計39人。全体に占める割合は、大学院卒で13.3%、大学卒程度で21.1%、合計では18.8%だった。
不人気が続き、申込者の減少が続いた総合職採用試験だが、2022年度は一応回復したように見える。しかし、現行試験が導入された2012年度以降では2番目に少ない。
かつて、国家公務員上級職として「キャリア」と呼ばれ、「天下国家のため」に日本の中枢で、国家を動かす仕事を望み、キャリア官僚を目指した頭脳明晰な若者がいた時代は過ぎ去り、長時間労働などが敬遠されて、すっかり大学生の不人気職業に成り下がってしまった。
今回の総合職採用試験の申込者の増加について、人事院は「出願期間を延長したことなどが影響した」とみているが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、「公務員は失業しないし、安泰な職業」的な発想で申込者が増加したのではないことを切に願うばかりだ。