見積もりを依頼する際のテクニック
施行会社に概算見積もりを依頼する際は、ひとつの「標準となる建物図面」を用意しておくことを強く勧めている。
図面一式は、一般的な家であれば20万円ほどの出費になる。だが、最終的に200万円から300万円くらいのコストダウンは容易に実現できるという。
概算見積もり依頼時に使えるワードはこうだ。
「設備は御社の掛け率のいいメーカーで見積もってください。その際のメーカー仕様書もいただけると助かります」
「別途工事となる項目は別紙に明記してもらえると助かります。できれば各別途工事の想定される工事値幅も教えてください」
「御社ではコストオンは可能でしょうか」
コストオン方式なくして、工事価格の大幅コストダウンや品質向上はできないからだ。応じない場合は、候補から外すのが無難だ。
逆にやってはいけないのが、見積もりの横流しや「坪単価」で判断することだ。。
契約時の注意、施行中のトラブルへの対応なども詳しく書いている。
掛川さんのようなCMの存在は、発注者だけでなく。施行会社側にとっても貴重な存在だという。無理な要求をする発注者を説得し、間を取り持つ役割がいると、立場上、どうしても下手にでなければならない施行会社としてもありがたいからだ。
本書には、実務的なことが山ほど書いてある。逆に言えば、自分で家を建てるにはかなりの勉強をしなければならない、ということだ。その手間を惜しむと、建売住宅を買ったり、ハウスメーカーの住宅を買ったりすることになる。その分、割高になることは言うまでもない。
掛川さんは「この本の内容をきちんと理解するだけで、建物の金額は8%程度抑えられるはずです」と書いている。自分の理想の家を自分の力で建てようと考えている人には、バイブルのような本と言えよう。
サブタイトルの「劇的コストカットの『段取り力』と『魔法の言葉』」に偽りはない。
(渡辺淳悦)
「建物の値段は頼み方で9割決まる」
掛川将著
ヨシモトブックス発行、ワニブックス発売
1650円(税込)