施行会社に管理してもらう「コストオン」方式がカギ
ところで、なぜ大手リノベーション会社の見積もりよりも大幅にコストダウンすることができたのか。
それは、大手の請負体制に原因があった。「一括発注方式」と呼ばれ、しがらみも多く、外注の積み重ねで見積もりがふくらんでいたのだ。掛川さんは、発注者が一部の工事にかかわる専門会社を選定し、施行会社に管理してもらう「コストオン」という方式で、安さを実現したという。
ここまでが「第1部 建築価格の真実」で、「第2部 プランにこそ力を!」以降に具体的なノウハウが書かれている。
建物を建てようと決めた段階で、まず着手したいのが「予算計画書」だ。「どこにこだわり、どこに妥協点を置くか」を明確にしておくことで、関係者の間でイメージを共有することができる。
予算計画書は「内部用」「施行会社用」「金融機関用」と3種類作成するのが理想的だ。施行会社用は内部用で示したうちの下限を目標として提出する。逆に、金融機関用は上限で融資の打診をする。
予算計画書をまとめたら、まずは「企画」だ。一軒家の場合はともかく、マンションの建設やアパートのリノベーションの場合は不可欠だ。掛川さんは、東京・新宿区にワンルームマンションを建てる案件で、「傾斜地を利用し、半地下とし、地下階を含めた3階建てにする」という企画を出し、部屋数の条件を満たしたという。次が設計・発注だ。
設計には「意匠設計」「実施・設備設計」「構造設計」の3つがあり、最低限、施行会社へ見積もりを取る前に、意匠設計のうち「配置図」「平面図」「立面図」は必ず作成依頼することを勧めている。