「安全でおいしい水」をいつでも、どこでも! 世界で初めて空気から水を生成した「IZUMIせせらぎ」【SDGs大学レポート】

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「水を楽しむ」ことにまで技術を追求

   空気から水を作る装置は、何年か前より海外では発表され、販売されている。この仕組みは、一般に「冷媒式」と呼ばれ、取り込んだ空気を一気に冷やし、外気との温度差で結露を発生させて水を生成する方式で、エアコンの室外機などと同じ仕組みの装置である。

   しかし、この仕組みは気温が15度以下になると、水が生成できないという弱点を持っているので、砂漠でも寒暖差の大きな地域や、気温が低くなるところでは、水が生成されないことがある。

   そのような弱点を克服したのが、アイハートジャパンが開発した「IZUMIせせらぎ」である。この装置の仕組みは、世界初の「吸着式」と呼ばれ、空気中の水分を特殊なフィルターに吸着させ加熱。気化した空気を常温に戻す段階で水を生成する仕組みを取っている。自然界にたとえるなら、この装置の中で、「温めて → 雲を作り → 雨を降らせる」というような、自然界の仕組みを再現している。

   この方式だと、気温が1度以上あれば、飲料水が生成可能となるので、世界の幅広い地域での利用が可能になってくる。

   その他に製品の軽さや冷媒ガスが不要なこと、静音、水を作り出すまでが短時間(30分)といった特性を生かして、水道のインフラのない国や地域のほか、仮設住宅やクルマ、船、列車、ガスの持ち込み禁止の飛行機などの乗り物での活用が有効であるのと、短時間で製水できることで、災害時の避難場所には大いに役立つことが予想され、ある自治体ではすでに、この装置の導入を検討しているという。

冷媒ガスが不要、静音、水を作り出すまで30分!(写真は、空気から水を生成する「IZUMIせせらぎ」)
冷媒ガスが不要、静音、水を作り出すまで30分!(写真は、空気から水を生成する「IZUMIせせらぎ」)

   次に、製水された水の質はどうなのか? おいしさが気になるところだが、硬度が1リットルあたり6ミリグラムの超軟水でまろやかさが感じられ、造り酒屋さんからも絶賛の品質。緑茶やコーヒーにも適し、特に和食における出汁や旨味、香りなどを引き出しやすい特徴をもつとされている。

   もちろん、おいしさだけではなく。水質基準は厳しい食品衛生法の26項目もクリアしていて安全面でも安心の水である。となれば、誰もが一度は飲んでみたいと思うだろう。

   ただ単に、空気から水を作るだけではなく、その水を楽しむことにまで技術を追求したことは、日本人ならではのモノづくりの真骨頂ではないだろうか。

清水一守(しみず・かずもり)
清水一守(しみず・かずもり)
一般社団法人SDGs大学 代表理事/公益財団法人日本ユネスコ協会連盟・ユネスコクラブ日本ライン 事務局長/英国CMIサスティナビリティ(CSR)プラクティショナー資格/相続診断士
日本大学文理学部を卒業。大学では体育を専攻。卒業後、家業である食品販売店を継ぐも新聞販売店に経営転換。地域のまちづくりとして中山道赤坂宿のブランド化を推進した。その後CSR(企業の社会的責任)の重要性を学び、2018年7月から名城大学で「東海SDGsプラットフォーム」として月2回の勉強会を開催中。SDGsを広めるための学びの場として2019年9月に一般社団法人SDGs大学を開校。現在、SDGs認定資格講座やSDGsイベントなどを開催中。
岐阜県出身、1960年生まれ。
一般社団法人SDGs大学
SDGsを広めるために、誰もが伝道師となるような認定資格講座を3段階で設定。SDGsを学ぶきっかけの資格としてSDGsカタリストから始まり、その上位資格としてのアドバイザー資格、さらにカタリストを育成するカタリストトレーナー資格を設け、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsを他人事ではなく、『ジブンゴト』としてとらえ、実践していけるようにSDGsの研究・周知・教育を行っています。校訓として学び・実践・達成・及人を掲げ、物心両面の幸せを追求し、真の『自分ごと』を探求できる学びの『場』として、誰もが参加ができるインラインによる「SDGs大学プラットフォーム」、「SDGsキャンプ」などのセミナー、イベントを提供しています。
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