資本調達で財務健全性改善。さらなる事業拡大へ
マネーフォワードで気になるのは「創業以来の赤字続き」ですが、会社がこれを許容している理由は、SaaS(Software as a Service)というビジネスモデルだからです。
必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアのことで、年間契約など顧客との継続取引を行っているので、中止・離脱がない限り翌年以降も自動的に取引を確保できます。
システムの先行投資を少額で回収していくため、当初は赤字となる場合が多いものの、売り切りモデルよりも収益性が高く、マネーフォワードも黒字化しようと思えば、比較的早期に赤字を脱却できるのではないかという見方があります。
しかし会社は、目先の黒字化よりも「より多くの顧客の獲得」(有価証券報告書より)を目指して、将来の利益を最大化することを目標としており、2022年11月期も人材採用やマーケティングコストを投入し、赤字を継続しつつ売上高の拡大を志向しています。
なお、マネーフォワードは、2020年11月期末の自己資本比率が44.3%とやや低下していましたが、2021年8月に海外投資家向けの公募増資で307億円を調達。2021年11月期末の自己資本比率は71.1%に大幅改善しています。
資金調達や「プライム市場」選択申請のニュースなどに合わせて株価も上昇し、2021年9月6日には9190円の高値を記録しました。年明け後、2022年4月中旬ごろまでは5000円を中心に推移しています。直近では、4400円台となっています。(こたつ経営研究所)