出版科学研究所によれば、2021年(1~12月期累計)の出版市場規模は、前年比3.6%増の1兆6742億円と3年連続でプラスとなったことが明らかになりました。電子出版が18.6%増と堅調で、紙の書籍も同2.1%増と15年ぶりに増加に転じています。ビジネス系は伸び悩んでいますが、漫画と児童書は売上を伸ばしています。
調査レポートの「拡張する絵本の世界」(KDDI総合研究所)によると、2000年を起点とした売上高の推移では、2018年時点で、他ジャンル全てが減少しているのに対し、児童書は約1.5倍の規模に伸長しています。今回は、そんなビジネスチャンスへの期待が高まる「絵本」にスポットを当ててみます。
「ママになる人のためのオメガ3がよくわかる絵本」(オメガさと子/大塚聡子 著)自費制作
「いい油」オメガ3オイルとは?
健康産業速報によると、機能性表示食品の累計受理数が2200品を突破したそうです。機能性表示は、中性脂肪や体脂肪など「脂肪系」が最多。その中でも、今注目なのが「オメガ3オイル」です。「オメガ3オイル」にはどのような特徴があるのでしょうか。
そのためには、油の種類と性質が異なることを理解しなければいけません。植物や魚など常温で液体の植物性脂肪を「油」といい、牛や豚など常温で固体の主に動物性脂肪を「脂」といいます。オイルは「体内で作ることのできるもの」「体内で作ることのできないもの」に分けられることを理解しましょう。
さらに、油には「いい油」と「悪い油」があると、著者のオメガさと子さん(以下、大塚さん)は指摘します。「体に悪い油」とは何でしょうか。トランス脂肪酸の取りすぎは体に悪いと、耳にしたことはありませんか。マーガリンやショートニング、ファットスプレッドにとくに多く含まれるものは『人工トランス脂肪酸』といわれています。
具体的には、食パンやクッキー、スナック菓子、アイスクリーム、マヨネーズ、ドレッシング、コーヒークリームやスーパー、コンビニで売られるお総菜など、私たちが日頃から口にしている多くの食品に使用されています。
大塚さんが研究している、オメガ3オイルとはどのようなものでしょうか。油は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類できます。飽和脂肪酸は「脂」のことです。不飽和脂肪酸は植物油や魚介類に含まれる油で、エネルギー源や細胞膜の材料となり、体内にたまりにくいのが特徴でこれを総称して「オメガオイル」といいます。
「絵本は人生で3度読むべきもの」
「オメガオイルは3タイプに分かれます。『DHA』『EPA』『α-リノレン酸』を多く含む→オメガ3オイル、『リノール酸』を多く含む→オメガ6オイル、『オレイン酸』を多く含む→オメガ9オイル。このように3つの脂肪酸を混合しており、どの脂肪酸を多く含むかによって3タイプに分類されます。このなかで取るべき油はオメガ3オイルのみです」(大塚さん)
「製造過程で高熱処理を施されるサラダ油や何度も使い回す揚げ油には、トランス脂肪酸が含まれています。コンビニのおにぎりにも、『植物性油脂』と表示されたサラダ油などの安価な油が使われており、私たちは知らないうちにオメガ6の油を取りすぎているのです」(同)
最近、絵本の持つ特性から、大人にも人気が出ています。大人になったいま、絵本と向き合うと、幼い時には気付かなかったメッセージに気付くことがあります。
そこで今回は、オメガ3オイルの啓蒙活動を続けている、大塚さんが作成した妊活向けの絵本を紹介しました。この本は、コロナ禍の影響でオメガ3のイベントが中止となった経緯があり、そんな中でも、オメガ3が妊活に必要なことを伝えたい、という思いから作成したとのことです。
出版形態は自費制作で、大塚さんが啓蒙用に制作しました。原書は自著「最強の妊活!」(小学館)で、ビジネス書を子供にわかりやすく仕上げられています。啓蒙向けにこのような絵本が流行るのかもしれません。
柳田邦男は「絵本は人生で3度読むべきもの」と解説しています。それは、「自分が幼い時」「親になって子どもを育てる時」「人生の後半、祖父母の時」の3回。よい絵本は、年齢を重ねても読むたびに新たな感動があります。新たな感動とは、年齢によって異なる視点が楽しめるということです。絵本を通じて、自分の感性と向き合うことができるでしょう。
(尾藤克之)