やっぱりリアルのコミュニケーションは大切と痛感
大学に通い始めてまだ3週間ですが、コロナ禍生活が長引いたせいもあり、人と会って直接話をすること、あるいは話を聞くこと、あるいは新しい出会いを通じて、さまざまな環境で生活や仕事をされてきた方々と交流することで、リアルに刺激を受けることの新鮮さ、大切さを改めて痛感しています。
2年を超えるコロナ禍では、ややもすると、仕事や打ち合わせや商談のオンライン化の利便性ばかりが強調され過ぎているような嫌いもあります。ただ、利便性と充実度は必ずしも合致するものではなく、むしろトレードオフの関係に近いのではないかとすら感じています。
新鮮味にあふれた大学生活の中で、リアルのコミュニケーションの大切さを改めて実感するに至り、こと人と人との関係に関してはデジタル化がアナログな関係をまんま置き換えられるモノではない、という認識を強くしているところです。
私の周囲では、コロナ禍で社内外問わず、リアルな接点やアナログなコミュニケーションの重要性を忘れているのでは、と思しき経営者が少なからず見受けられます。特にIT系の経営者には、自社のITサービスがコロナ禍における利便性の向上を担ってきたという自負もあるのでしょうか、アナログ軽視の危険性を感じさせられもしています。
「ここ1年以上リアルでの会議はしていない」「コロナ禍以降、直接会って話をしていない社員がけっこういる」といった思い当たりがもしあるのなら、それは決して威張れることではなく、むしろ要注意の危険信号であると理解した方がいいかもしれません。デジタル技術に頼りすぎることで、新たな出会いや気づきの機会を失っている危険性を感じます。
思えば私が新生活スタートの春に、このうえないリフレッシュ感を感じることが出来ているのは、すべての授業がオンランではなく、リアルで運営され教授や学生たちと直接触れ合うことが出来ているからに違ないとも言えます。
企業経営においても、オンライン化で知らず知らずに失われたものを取り戻すためにも、コロナが安定期に移行しつつある今こそ、リアルやアナログ・コミュニケーションへの思い切った回帰も必要なのではないか、と感じされた私の新生活雑感でありました。
最後に若干余談ですが、今考えている私の大学での研究テーマは、たとえば江戸時代の版画工房がいかにして日本の「ものづくり企業」の原点となり得たのか、といった観点から中小企業マネジメントの原点を紐解いてみてはどうかと思っています。
それが現場で企業経営のご支援をさせていただく際のプラスになるのではないか、と思えばこその研究テーマでもあります。研究課題に限らず、大学生活の中で新たな学びとして得るものと出会った際には、今後本連載でも適宜紹介させていただき、読者の皆様のお役にも立てればと思っています。
(大関暁夫)