将来は事業ポートフォリオを「旅行50:非旅行50」に
2021年10月期の決算説明資料には今後の想定シナリオとして、次のようなストーリーが示されています。
「2022年前半は日本国内マーケットに需要は集中。海外旅行においては、22年の夏よりハワイ・グアムなどビーチ方面から回復を想定。その後少しずつアメリカ、ヨーロッパ方面の需要が戻るにつれ、アジアもワクチン接種が進んだ国からの回復が進み、23年4Q頃には19年水準の環境に戻る」
そして「需要回復局面での反転速攻」「財務戦略の強化」「新規事業のチャレンジ」によって、早期の黒字化を目指す経営方針を掲げています。
今後の目指とすべき姿として、旅行関連事業で営業利益の90%を生み出していた構造を変え、「旅行関連事業50%・非旅行事業50%」にしていく事業ポートフォリオのイメージも示されています。
コロナ禍がエイチ・アイ・エスの事業に大打撃を与えたことは事実です。しかしコロナ前も営業利益率は2%台と低く、収益構造に不安がなかったとはいえません。
給与が大幅に減った社員やグループ外に出向した社員もいる中で「災い転じて福となす」と軽々しくいえませんが、企業体質が持続可能な形で強化されたとすれば、この苦労もムダではなかったといえるのではないでしょうか。
なお、エイチ・アイ・エスの株価は、2021年9月30日には3030円まで上昇しましたが、その後下落。まん延防止等重点措置の解除後は、2000円から回復傾向にあります。(こたつ経営研究所)