値上げの早期実施に驚き...「経営陣の危機感の表れ」
ところで、ビール、発泡酒、第3のビールの税率は2026年に統一される。これに向けて段階的にビールは減税、発泡酒と第3のビールは増税になる。
ビールにとって有利な局面が続くなか、アサヒは2022年2月下旬出荷分から、1987年の発売以来初めて「スーパードライ」をフルリニューアルした。新たなスーパードライを定着させるためにも値上げには慎重だろうとみられており、株式市場でも値上げ実施は23年以降との見方が多かった。
このため、値上げ、さらにはその早期実施もいい意味で、驚きとなった。
野村証券は4月27日配信のリポートで「株式市場は2022年12月期の値上げへの期待はほぼ無かったと見られ、今回の発表をポジティブに受け止めるだろう」と指摘した。SMBC日興証券もリポートで「弊社では(値上げは)来春ではないかと予想していたので驚いた。コスト高は当初の想定以上だろうが、早期決断は経営陣の危機感の表れと高く評価したい」と記した。
いずれも高い評価で、当面、アサヒの株価は上値を追う展開が続く可能性がある。(ジャーナリスト 済田経夫)