米国凋落に続く「中国経済減速」で世界経済どうなる? エコノミストが指摘...「北京など主要都市のロックダウンが怖い」

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聞こえてくるのは当局への怨嗟の声ばかり

   一方、新型コロナの再拡大以前に、習近平指導部の「失政」が経済失速の原因を作っていたと指摘するのは、公益財団法人・国際通貨研究所上席研究員の梅原直樹氏だ。

   梅原氏のリポート「悪化する中国の経済状況とウクライナ危機への対応」(4月27日付)では、習近平指導部は「改革開放路線」の評価を引き下げ、旧来の社会主義イデオロギーである「共同富裕」(貧富の格差を是正し、すべての人が豊かになることを目指す)を掲げたことを問題視した。十分に「共同富裕」の青写真がないまま習近平氏が走った、と梅原氏は説明する。

「長期的な経済運営方針は骨格がまだ十分に固まっていないようにも見える。例えば、格差是正の具体的な実現方法の青写真も内部で議論が尽くされていないと見られ、成長と分配のバランスをどう取るのか、国家統制の強化とルールに基づく市場の運営の拡大をどうバランスさせるのか(中略)等々、中国共産党の『指導方針』は必ずしもしっかりと固まっているように見えない」

   この結果、「独占の弊害を取り除く」と言いながら国有企業は対象外におかれた。不動産バブルを招いたとして、民間大手不動産は資金調達の規制が強化された。大手ITプラットフォーム企業は、運営ルールの厳格化で「懲罰」を受けた。このため、民営企業家の心理は萎縮し、新規雇用が減った。「これは間違いなく内需に悪影響を与えている」と、梅原氏はいう。

オミクロン株の猛威に「ゼロコロナ」は無理?(写真はイメージ)
オミクロン株の猛威に「ゼロコロナ」は無理?(写真はイメージ)
「そこにオミクロン株の流行が重なる。政府の対策は2020年の武漢危機の時と基本的に変わっていない。いわゆる『ゼロコロナ』政策であり、(中略)陽性が出た場合、居住地域の人々を強制隔離し、ウイルスを封じ込める。成果を上げれば、人々は共産党の偉大さに感謝することが求められる」
「今聞こえてくるのは当局への怨嗟の声である。そしてオミクロン株による混乱は上海にとどまらず他都市でも再現される可能性がある。今後、政府がよほど強い対策を打たないと景気回復が進まない可能性がある」
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