ワクチン接種数が増えると行動制限を厳格にする
中国の新型コロナ感染がどこまで拡大するかが注目だが、中国の過剰ともいえる「ゼロコロナ」政策が続く限り、中国経済は大幅に減速する可能性がある、とするのは、三菱総合研究所の政策・経済センターの金城大介氏だ。
金城氏のリポート「ゼロコロナ政策に揺れる中国経済」(4月28日付)のなかで、中国とドイツ、英国の行動制限の厳格度とワクチン接種率数を比較するグラフを明示した=図表4参照。
これを見ると、ドイツや英国はワクチン接種者数が増えると、行動制限を緩和しているのに、逆に中国は強める傾向にあることがわかる。そのため、消費活動がすっかり冷え込み、小売業や自動車の売上は急落している=図表5参照。
金城氏はこう指摘する。
「ゼロコロナ政策は、消費の冷え込みをもたらしている。小売売上は、好調な自動車販売を牽引役に22年1~2月期は前年比プラス6.7%であったが、22年3月には、一転、同マイナス3.5%に悪化した(再び図表5参照)」
そして、こう結んでいる。
「中国政府は、公共事業の前倒し、金融緩和を実施済みで、今後もゼロコロナ政策による景気の下振れに配慮した政策実施が見込まれる。但し、コロナの封じ込めは難しく、地域的広がりが予想されるなか、ゼロコロナ政策の修正がない限り、22年の実質GDP成長率は政府目標5.5%を下回ることになろう」