DX研修の「肝」はココ! あなたの会社はどう「進化」したい? どんなIT人材を求めているの? プロイノベーションの久原健司社長に聞く(後編)

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社員採用、広がる「できる人材」を雇うアメリカ型

――コロナ禍が3年目に入り、DX人材を育てていくうえでのポイントは何でしょうか。

久原さん「コロナ禍とリモートワークによって、OJTのような日頃の営業活動で先輩から学ぶ育成がやりづらくなって、よりスキルのある人、できる人を採用するようになったのではないでしょうか。しかし、求める人材は、そんなに変わっていないように感じます。
   人材のタイプでいうと、何か質問してくれる人がいいですね。聞きたいと思う人であることが重要だと思います。興味を持って『これってどうなっているのですか』と、質問できる人は非常にポイントが高いです。質問できる・できないは、その人の性格によるものも大きいので、会社からも質問しやすいように質問タイムを設けるなど、時間を作る工夫も必要だと思います。また、質問を受けた先輩や上司にとっても、受けた質問をあらためて調べて、新しい知識を得る場合もあるでしょう。『質問することはとてもいいことなんだ』ということを会社としても教えていきたいですね」
久原健司さんは「アメリカでは個人が個人のためにスキルを身につける」と話す
久原健司さんは「アメリカでは個人が個人のためにスキルを身につける」と話す

――ところで、テレワーク中心の米国では、研修や社員育成はどのように進めているのでしょうか?

久原さん「コロナ禍によるリモートワークの普及は、テレワークが中心の米国型の仕事の仕方に近づいているとも言えます。米国では80%以上がテレワークを導入しており、その中で株価も上昇し成長を遂げています。それならば、米国ではさぞかし研修や社員育成に力を入れているのだろうと思われますが、じつはその逆。そもそも一般的には新入社員向けの研修は行われていません。米国では、基本的に仕事ができる人を採用して回しているので、研修や育成に力を入れる必要がないのです。
   もっと言うと、日本の場合は、大学を卒業後の若くてまだ仕事ができない子たちを採用して育てていく流れがあります。ところが、米国では、個人が個人のためのスキルをしっかり身につけたうえで、就職先を探します。つまり、新卒の若手でも『教わっていないから、仕事ができない』などと言ったら、その時点で雇いません。仕事の仕方が米国型に近づくにつれて、社員の採用や育成の仕方も米国型に変わっていく可能性が十分考えられるのではないでしょうか」

――米国と日本では雇用の仕方の状況も異なるわけですね。

久原さん「日本も将来的には、『できる人』を採用する手法をとることで、社員育成や研修をしなくても仕事が回るようにする会社が増えていくのかもしれません。とくにテレワークの場合では、OJTや帯同営業の必要はないといえるでしょう。少なくとも米国ではうまくいっているわけですから。米国型のシステムを導入するのは一つの手段になると思います。リモートワークで研修も育成も難しいとなると、そもそものやり方変えてしまおうと考える企業が出てもおかしくはありません。そうなると、新卒採用も減り、スキルが高くて優秀な人材が職を得ていくようになり、取り残される人々も増えていく......。もしかしたらコロナ禍が、日本の雇用形態をも変えるきっかけになるのかもしれません」

――なるほど日本も、働く人も企業もスキルは自ら身に着けていく時代になりそうです。

久原さん「そうですね。では、どのようにスキルアップさせていくのか? できないことは専門家に聞くのが近道ですが、専門家が身近にいないときは、国が無料でサポートしてくれる仕組みを利用する方法もあります。たとえば、厚労省のテレワーク相談センターでは、テレワークの仕方やZoomの使い方、テレワークでの研修の仕方から機器の選定など、さまざまなことを教えてくれます。みなさん、無料で利用できる情報があっても、ご存じでないことが多いのです。テレワークもできる人に聞けばいいのです。そのために、私たちがいるのですから(笑)」
久原健司さんは「会社のDX化は無料ツールではじめられます」と話す
久原健司さんは「会社のDX化は無料ツールではじめられます」と話す

――会社のDX化は、どうすればカンタンに始められますか?

久原さん「まずは無料ツールで始めてみてはいかがでしょうか。会社をDX化していく方法は、企業によって違いますが、最近とっかかりとしてお話しているのは、googleなどの無料ツールは組み合わせることによって、何倍もの便利さが出せるのです。
   たとえば、GoogleカレンダーとZoomは連携できます。予定が決まると、ZoomのURLを発行し、その予定をGoogleカレンダーに登録してくれる。前日になると教えてくれて、まるで秘書みたいな動きをしてくれるのです。無料のツールもうまく組み合わせると、2×2×2の8倍ぐらいに使いやすくなるので、そういったものをまず試していただきたいと思います。
   DXも研修も、結局は困っていることに対して問題が解決されないと、意味がないんですね。いいツールを持っていても、その人のためにならなくては、宝の持ち腐れ。困りごとを解決していくことにこそ、意義があると思います」

――ありがとうございました。

(聞き手:牛田肇)

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