日本学生支援機構の調査によると、日本への外国人留学生が激減している。新型コロナウイルスの感染拡大によると、渡航禁止などが主な理由だが、2021年5月時点の外国人留学生は前年比13.3%も減少した。
7年連続増加から一転、ここ2年は右肩下がりに
日本学生支援機構は2022年3月30日、「2021年度外国人留学生在籍状況調査」を発表した。
「外国人留学生在籍状況」は、大学(大学院を含む)、短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)、我が国の大学に入学するための準備教育課程を設置する教育施設、および、日本語教育機関における外国人留学生の在籍状況をまとめたものだ。
留学生在籍状況から見ていくと、2021年5月1日時点の留学生数は前年同時点に比べ、3万7153人(13.3%)も減少し、24万2444人となった。
直近の10年を見ると、2012年の16万1848人から7年連続で増加し、2019年には31万2214人にまで増加していた。だが、2020年、2021年と2年連続で減少に転じたのは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたからだろう=表1。
日本政府が学費を負担する国費留学生数は8197人で、前年度比564人(6.4%)減少。外国政府が学費を負担する留学生数は3170人で、同36人(1.1%)減少。私費留学生数は23万1077人で、同3万6553人(13.7%)減少した。
また、高等教育機関に在籍する外国人留学生数は20万1877人で、同1万6906人(7.7%)減少。日本語教育機関に在籍する外国人留学生数は4万567人で、同2万247人(33.3%)減少した。
教育機関別では、大学院が5万2759人で、同297人(0.6%)減少。大学、短大、高専が7万6499人で、同6578人(7.9%)減少。専修学校が7万268人で、同9330人(11.7%)減少。準備教育機関が2351人で、同701人(23.0%)減少。日本語教育機関が4万567人で、同2万247人(33.3%)減少した。
外国人留学生受け入れトップ3は東大、早稲田大、日本経済大
外国人留学生全体の出身地域を見ていく。すると、アジアが23万550人で全体の95.1%を占め、圧倒的に多い。次いで、欧州の5622人、アフリカの2005人となっている。国別では、中国が11万4255人で全体の47.1%、ベトナムが4万9468人で同22.3%と多く、この2国で全体の67.5%を占めている。
男女別では、男性が13万6111人、女性が10万6332人で、男性が56.1%、女性が43.9%と大きな差はない。
専攻分野では、社会科学が7万6301人、人文科学が7万2954人で、両者で全体の61.1%を占めている。次いで、工学の4万1009人となっている。
日本語教育機関への留学生でも、同様の傾向にある。出身地域ではアジアが3万8517人と全体の94.9%を占めている。国別では、中国が2万192人、ベトナムが1万877人と、この2国で全体の76.6%を占める。
外国人留学生の受け入れの多い上位30大学では、東京大学の4084人がもっと多い。国立大学と私立大学別では、国立大学が11校に対して、私立大学が19校と私立大学が多くなっている=表2。
ただ、一部の私立大学では学生数の不足を外国人留学生によって補充しており、「幽霊大学生」の存在が指摘されるなどの問題も発生している。
新型コロナの影響が主な要因として2年にわたって減少が続く外国人留学生数だが、その本当の原因が、外国人留学生にとって日本の魅力が低下していることではないのを願うばかりだ。