過去の例では1ドル=140円~150円台に?
こうなると、歯止めがかからなくなった円安は、いったいどこまで、そして、いつまで進むことになるのだろうか――。その疑問に答えるのが、三井住友DSアセットマネジメントの「どこまで進む?円安ドル高 通貨防衛という『無理ゲー』に直面する政府・日銀」(4月28日付)というリポートだ。
このリポートでは、下の図表のように、過去5回あった「大幅円安」のリスクシナリオを検証している。
それは、(1)1995年7月~1997年4月、(2)1997年11月~1998年8月、(3)2000年11月~2002年1月、(4)2012年11月~2013年5月、(5)2014年9月~2015年6月、の計5回だ。
過去5回の円安局面の平均値を見ると、期間は10.4か月、値幅は29円3銭、そして変動率は30.4%となっている。こうした数字を今回の円安局面に当てはめると、まず、円安が始まった起点をいつにするかだが――。
(1)2020年3月につけたドルの高値112円23銭を上抜けた2021年10月11日を起点にすると、円安期間は残り3か月、値幅で見たドルの上値のメドは141円、変化率で見た場合は146円となる。
(2)急速な円安が始まった2022年3月11日を起点とすると、円安期間は残り8か月、値幅で見たドルの上値メドは145円、変化率では152円となる。
いずれにしろ、トンデモない上値にまで円安が進みそうだが、リポートでは「弊社では、今年のドル円相場のレンジについて、1ドル134円程度を上限と見込んでいます」と述べている。ただし、最後はこう結んでいる。
「現在のように、外為市場で明確な『円安トレンド』が現れた場合、通貨価値の下落が『悪い円安論』で語られるような実体経済の悪化をもたらすことで、もう一段の円安を引き起こす『悪循環』が生じるリスクについても、意識しておく必要がありそうです。このため、レベル感に頼った安易な逆張りはケガの元ともなりかねず、当分は注意深く市場の動向を見ていく必要がありそうです」
と、相場を読み違えない注意を呼びかけている。
(福田和郎)