「毎日指し値オペ」は日銀の怒りの表れ
第一生命経済研究所の主任エコノミスト藤代宏一氏も、「指し値オペの常態化」には驚いたようだ。藤代氏のリポートは、「怒りの毎日指し値オペ 出口戦略は海外金利が安定している時に」(4月28日)という激しいタイトルをつけ、こう述べている。
「ごく一部の市場参加者は引き締め方向の政策修正を見込み、また少数の市場関係者はフォワードガイダンスの修正を予想していたが、日銀はそうした観測を徹底的に潰すかのように、現行の金融緩和を継続していく姿勢をより強く示した。政策変更という位置付けではなかったが『連続指値オペの運用の明確化』と銘を打ち、指値オペを毎営業日実施する方針を示した」
そして、今後の見通しについてこう分析した。
「筆者は黒田総裁の任期満了後、YCC(イールドカーブコントロール)の操作対象年限を5年に短縮する可能性があるとみている。その際の環境としては、もちろん景気がある程度持ち直していることが重要であるが、10年金利のコントロールを止める以上、より重要な要素になってくるのは海外金利の安定であろう。
現在のように主要中銀が引き締め方向へ舵を切る環境は、日銀の『便乗引き締め』を容易にする一方、海外金利上昇の余波で日本の10年金利の急上昇を招く恐れがある。この点を重視すれば、海外中銀の引き締めが終わっている局面のほうが、容易に出口戦略に着手できると考えられる」
と、「ポスト黒田」の新しい日銀総裁に期待するのだった。