国内最大のボードゲームの祭典「GameMarket(ゲームマーケット)2022春」が2022年4月23~24日、東京ビックサイト西展示棟1・2を会場に開催された。主催は株式会社アークライト(東京千代田区)。
ゲームマーケットは、「電源を使用しない」アナログゲームの振興とユーザの交流を目的とした「みんなでたのしく」過ごせるイベントだ。
ウィズ・コロナ時代の大型イベントの会場の様子はどうなのか。また、出展企業の新しいビジネスの話題や、スタートアップ企業の話などを取材した。
入場者数の制限を実施しつつも、熱気に包まれワクワク・ドキドキの空間
入場してまず目を引いたのは、「ナゾトキdeプロデュース!ビギニング アイドル」というゲームを紹介中の「冒険企画局/クリエイティブAHC」ブースの二人だ(上の写真)。このゲームは無料で参加できるとあって、チラシを受け取り、足を止めて話を聞く来場者も多く見られた。新型コロナウィルス対策のため入場者数の制限を行っていたが、出店者の笑顔も手伝って、会場内は来場者の楽しそうな表情で満たされていた。
つづいて、ウィズ・コロナ時代の新しいビジネスモデルを提案していたのは、アナログゲームの販売や卸売りの大手「すごろくや」の担当マネージャー山田将土さん。
山田さんによると、新型コロナウィルスの影響で、リアルでのイベントの開催は難しくなったという。そこで、動画配信などでゲームの遊び方の普及に努めてきたが、アナログのゲームの面白さや、お客様にマッチしたゲームの提案は動画配信ではなかなか理想通りにはいかなかった。
たとえば、家族でアナログゲームを楽しみたい人が、人気作だからといって「犯人を捜すような上級者向けのゲーム」を買ってしまい、あまり楽しめなかった......ということがよくあるのだそうだ。しかし、対面販売ができれば、事情は違ってくる。なぜなら、遊ぶメンバーの構成やゲームレベルなどをお客様と話しながら、店員は最適なゲームを提案できるからだ。そうすれば、ミスマッチは起きない。
そこで、「ゲームの販売は遊び方を相談しながらできる方がよい」との考えを深めた同社は、2022年4月から新しいビジネスモデル「すごろくやスタンド」の展開を開始した。
このサービスは、アナログゲームを販売してみたいという街の小売店が、「すごろくやスタンド」を設置することで、ゲームの販売ができるというもの。おすすめゲームのセレクトや仕入れなどは「すごろくや」がサポートする。そのほか、ゲームをお客様に案内できるような売り手側の研修も実施する。「ハード」だけではない、「ハート」も含めたビジネスモデルなのだ。
ちなみに、「すごろくやスタンド」の設置サイズは幅90cm、高さ200cm、奥行55cmほどあれば十分。店舗の一角におけるサイズで、すでに複数店舗で設置されている。街のお肉屋さんからも設置の申し込みがあったそうだ。
山田さんは、「床屋さんやパン屋さんなど街の小売店でボードゲームが買えて、何がおすすめなのか相談できることがお客様にとっての大きなメリット」だと語る。まさに、オンライン販売の課題に対し、一石を投じるビジネスモデルと言えそうだ。
スタートアップ企業の挑戦! でも、コロナの影響で製品が間に合わず...
今回が初出展という「TUOPIC GAMES(トーピック ゲームズ)」は、スタートアップ企業だ。起業したのは2021年の春。社長の陳さんがゲーム好きだったことから、米国ゲームメーカー大手Alderac Entertainment Group社(AEG社)の新作ゲーム「CUBITOS(キュビトス)」日本語版の製作・販売権を取得し、ゲームマーケットに臨んだそうだ。
陳さんは、ステイホームの暮らしの中で、小さい子どもから大人まで楽しく遊べる「キュビトス」は、きっと日本でもニーズがあると信じて先行投資に踏み切った。しかし、新型コロナウィルスの影響で日本語版の完成が間に合わず、販売戦略上でも重要な位置づけだったゲームマーケットで、まさかの予約販売の告知だけになってしまったそうだ。スタートアップ企業である同社にとっては大きなハンデとなった。
ここまでは、ゲームマーケット2022春を取材した中で新規ビジネスやスタートアップ企業を中心に伝えた。出展企業の想いやこれからについては<知られざるアナログゲームの世界...意外なアイテム、大喜利ゲーム、ゴジラも登場 ゲームマーケット2022春をリポート!(2)>に続く。
(会社ウォッチ編集部)