いいシナリオと悪いシナリオ...その2つの行方は
一方、現時点では「米国株の株高シナリオ」を見込んでいるのが、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。
市川氏のリポート「米国株の見通し~利上げを巡る2つのシナリオを考える」(4月25日)では、米国株の今後の展望として、2つのシナリオを考えている。
(1)利上げが景気を冷やし、株価の調整が続くシナリオ。
(2)利上げがインフレ抑制に成功し、景気を冷やさず株価が上昇基調を回復するシナリオ。
市川氏はこう予測する。
「市場は現在、かなり急ピッチの利上げを織り込んでおり、実際の利上げがこのペースで来年まで行われた場合、(1)のシナリオが実現する公算が大きくなります。(中略)米国では景気低迷を織り込んで10年国債利回りが低下、ドル円は比較的大きくドル安・円高方向に振れ、米国株は低調な動きが続くことが予想されます」
「一方、当面は急ピッチの利上げが行われたとしても、比較的早い段階でインフレのピークアウトが確認されれば、(2)のシナリオが実現する公算が大きくなります。この場合、その後の利上げペースは緩やかなものとなり、市場の過度な利上げの織り込みも後退すると思われます。(中略)米国では期待インフレ率の低下により10年国債利回りの上昇が一服、ドル高・円安の動きも一巡し、米国株は上昇基調回復が期待されます」
そして、三井住友DSアセットマネジメントとしては、(2)のシナリオの展開を見込んでいるとした。図表3が、今年12月末の米国株の見通しだ。
ただし、市川氏は、
「現時点では(2)のシナリオに沿った展開が見込まれますが、この先は、消費者物価指数などの米物価動向や、米金融当局者の利上げに関する発言などから、いずれのシナリオの蓋然性が高いかを探ることになります」
と、クギを刺すことを忘れなかった。
(福田和郎)